判示事項:
公然猥褻の行為にあたる事例
要旨:
劇場で約二〇〇名の観客を前にし、舞台中央に巾約二米の薄い幕を垂下し、頭上に二〇〇燭光の電燈二個を点じ観客の方からその幕を透して、電燈の照明により十分その形、動作、肉体が透視できるようにした舞台の上に、女優が始めは全裸で紅絹の布切を胸の辺から垂らして持つた姿で立ち、開演するとその布切を下に落して全く一糸をまとわない裸体を観客の方に向け約1分三〇秒間或るポーズを取つて立つて居た行為は公然猥褻の行為をなしたものである。
参照・法条:
刑法174条
内容:
件名 公然猥褻 (最高裁判所 昭和25(れ)882 第三小法廷・判決 棄却)
原審 広島高等裁判所
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人佐々波外七上告趣意は末尾に添附した別紙記載の通りである。
第一点について。
しかし原審の認定した事実は刑法第一七四条に該当すること明白である、論旨は独自の見解にすぎないから理由がない。
第二点、第三点について。
所論共謀事実は原判決挙示の証拠によりこれを認めることができる。そして所論舞台設備の悪るかつたこと並に当局が行政処分をとらなかつたことは本件犯罪の成否に関係がないことである。従つて論旨は理由がない。
よつて旧刑訴法第四四六条により主文の通り判決する。以上は裁判官全員一致の意見である。
検察官浜田竜信関与
昭和二五年一一月二一日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 長谷川 太一郎
裁判官 井上 登
裁判官 島 保
裁判官 河村 又介 |