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遅咲きの恋

第二話:恋の褥

 

いつもの空蝉様の寝所にぼんやりと灯りが灯っている。

今時珍しい、行燈。

障子の隙間からは月明かり、仄かに薫る香の薫り…

その傍らに恥らう様に用意された恋の褥を艶やかに演出している。                   

 

あれからワタクシ達は一言も言葉を交わさぬまま此処へ帰ってきた。

ワタクシは空蝉様が逃げてしまうのが恐くて彼の腕に絡みつく様にしがみ付いて歩いた。

空蝉様はそんなワタクシを一瞥もせずでもワタクシが離れぬ様ゆっくりと歩いて下さった。

ワタクシの心臓は高鳴っていた。

誤魔化され、逃げられてしまうかも、という恐怖…

そして、これから、この人のものになる、という緊張…

今から、この方と契りを交わし、もう二度と戻れない、男と女の関係になる…

そう思うと、緊張と不安が胸を襲った。

これが、マリッジブルーというものだろうか。

これから、二人きりで夜の婚礼の儀、初夜を迎えるというのに…。

 

「本当に、ワシで、いいのか。」

男らしく胡坐をかいた空蝉様がぽつりと確かめる様に呟いた。

「不束者ですが、末永う可愛がって頂きたく存じます。」

古式ゆかしく、三つ指をつき、空蝉様にお願いをする。

「お前はこの日本の下手な女より大和撫子じゃのう。」

ワタクシはゆっくりと近付きそっと身を寄せる。

「蛍火…。」

「空蝉様…。

二人の息が絡み合う。

「本当に、ワシで、いい、のか?お前は、後悔しないのか?お前の様な若く美しい娘が、ワシの様な…。」

ワタクシは空蝉様のごつごつとした男らしい手に自分の白い手を重ねた。

「空蝉様…。」

色々言いたい事はあった。でも止めた。これ以上言葉を重ねても多分同じ事だろう。だから、

ゆっくりと、自分の浴衣の紐を解いた。

ゆっくり、ゆっくりと肩から着物をずらし、行燈の仄かな灯りに自分の柔肌をさらした。

「空蝉様…。」

着物を肌から滑らせる様にして全て落とす。

「空蝉様…。女が、この様なあられもない格好を曝しているのですよ?それでも、信じて頂けません、か…?」

「蛍火…。」

行燈と月明かりの仄かな灯りに空蝉様の瞳の光が僅かに揺らめいている。その瞳には戸惑いの色。

「それとも、ワタクシには、魅力が、御座いませんの…?」

もしかするとワタクシの裸身が空蝉様のお気に召さなくて、それで戸惑っていらっしゃるのかも。そう思うと、恐かった。

「綺麗だよ。ワシには勿体無いくらいだ…。」

そう言って、又目を伏し目がちになさった。

この人に抱かれたい、ワタクシは強く願った。こんな感情、久し振り、いや、初めてと言っても過言じゃないくらいだ。

こんなに抱かれたいと思った事はない。

こんなに好きだと思った事もない。

ワタクシも、この年になって初めて“本当の”恋を知ったのかもしれない。

だから、その恋をくれたこの人に、想いの丈の全てを伝えたい。

少し俯き加減になっている空蝉様を今度はワタクシが覗き込んだ。

「空蝉様…お慕い申し上げております…。」

そうして自分からそっと口付けた。

空蝉様の不精なお髭が今度はこそばがゆい。

両手で包み込む様にしてその感触を楽しんだ。

唇と両掌に空蝉様の存在が感じられる、それだけで、安心。

ちょん、ちょん、と彼の唇を舌で叩く。空蝉様がそれに応答する。

ぬるり、ぬるりと二つの舌が絡み合う。

それだけでもう、ワタクシの秘密の場所も適度な湿り気を帯び、彼自身の受け入れを待ち侘びる。

“早く、此処に、来て…“

だけど彼の優しい手は、遠慮がちに、ワタクシの身体の他の部分を弄っていく。

一つ、一つと確かめる様に身体中のそこかしこを無骨な彼の手が器用に滑る。

その感覚は甘く、切なく、夢の様。

無意識にワタクシは彼の着流しの紐を解いていた。そして肩から着物をずらし彼の逞しい半身を剥き出しに。

ほの灯りに、肩と胸に残る長く大きな刀傷がぼんやりと浮かび上がった。恐らく生死の境を彷徨ったであろうと伺い知得る程の、大きな傷跡。

この人は、どれ程の修羅場を潜り抜けてきたのだろう。その過酷な長い年月、ワタクシの心で癒したい。

ぱさ…っ。

空蝉様のお着物を完全に下へ落とす。すると彼の身体の中心部分に褌を押し上げて自分の存在を誇示しているものがはっきりと見えた。

その逞しさは布の上からでも計り知れる程だ。

“感じていらっしゃるのね…。嬉しい…。”

それを、壊さないようそっと握って差し上げた。

ぴくり、と身体を少し振るわせなさる。

思わず彼の最後の一枚を剥がしていた。彼の全てが見たくて。

“それ”は年輪を感じさせない程硬く、立派で、雄雄しく彼の中心で逞しく起立していた。

ワタクシは思わず刀鍛冶に鋳られている刀身を連想した。空蝉様の雄芯は、それ位熱く、鉄の様な硬度を保っていた。

“これが、空蝉様の…。”

思わず口付けしていた。そして優しく愛した。舌で、唇で…。

「蛍…。」

そんなワタクシの髪をぎゅうと快感に耐える様に彼が握り締めた。感じている空蝉様はより一層魅力的。

「ああ…ああ…蛍…ああ…。」

肩で息をするようにワタクシの名前を何度も呼ばれた。

ワタクシのウェーブがかった金色の髪をくしゃくしゃと撫でる。

そしてワタクシのその愛撫を制止して、とうとうはっきりとこうおっしゃって下さった。

「蛍…お前が…欲しい…抱きたい…。」

「嬉しい…。空蝉様…。」

そして、

どさ…っ。

最早我慢の限界なのか、ワタクシを六十前の殿方とは思えない程の逞しい力で布団に押し倒され、荒々しくワタクシに口付けをされた。

ワタクシの頭の中は最早真っ白。

ワタクシの存在全ては空蝉様の為にある…だから、もう何もいらない。

だから、彼になら、何をされても、いい。

男に心の全てを奪われ、何もかも駄目にして自分をも見失う莫迦女。

自分だけは、そんな女ではないと思っていた。

そんな風になる筈もないと思っていた。

人に恋する感情所か人らしい感情すら持たぬ冷酷な殺人マシーン…

それが、ワタクシだった。

それでいいと思っていた。

でも、空蝉様…

貴方にだけは…

ワタクシは、普通の、オンナ…。

空蝉様の前では、ワタクシは恋の奴隷。

だから、彼になら、何をされても、いい。

それから、ワタクシの乳房を、力強さとは裏腹な繊細さで愛撫して下さった。

そのお優しく巧みで繊細な愛撫に思わず声が漏れる。

「空蝉様…お願い…します…早く…欲しい…。」

自分から彼の腰を手で引き寄せ、両足を大きく広げ彼を誘った。

硬く、立派な彼の雄芯がワタクシのしとどに濡れそぼった秘部に確認された。

驚く程、大きい。

中々入りそうにもない、彼の、男性自身がワタクシの入り口で侵入に苦心する。

「お前は、狭い、な。」

「空蝉様のが、立派過ぎるのですわ。」

「蛍…。」

そう言うと空蝉様は、慣れた手付きでワタクシの秘部から彼への愛の証拠、あの液体を掬い取り、自らの雄芯に移した。

「蛍…。」

もう一度ワタクシの名を呼ばれてワタクシを抱かれようとした。

あの場所に感じられる、彼自身。

今度は素直に、侵入してきた。

ずぶずぶと彼がワタクシの中心を犯していく…。

その心地良さ。

言葉では言い表せない。

“もっと…もっと…奥まで…来て下さい…。空蝉様…。”

心の中で切に願う。

そして…

とうとう…

完全に…一つ、に…。

彼の立派なものが、長年誰も受け入れる事のなかった筒を一杯一杯に押し広げている…。

その感覚、それだけでもう、いい。

彼と、一つになれた、それだけで。

ゆっくり、ゆっくりと彼が優しくリズムを刻み出した。

「あ…ああ…空蝉…さま…。」

身体が、というより心が快感を感じている。身体の中心で大好きな殿方の一番男らしい“もの”が動いている、そう思うだけでもう、幸せ。

「空蝉様、愛しています…。」

「蛍…。」

つと上体を起こし空蝉様にきゅうと抱き付いた。

二人繋がったままで足を互いに広げ抱き合う。

空蝉様の汗の匂いがふと感じられた。

この人は全てが男らしい。

世界でもこんな魅力的な男性は他にはいない。

「空蝉様…。一生、蛍火をお側に置いて下さいませ…。」

頬を摺り寄せそう嘆願した。

そして肩の傷跡に唇を寄せ口付けした。

さら…っとワタクシの髪をかき上げ空蝉様もワタクシの首筋に口付けをしてくれた。愛の跡を、はっきりと付けて下さる。

彼の甘い息と愛撫を受けているだけで登り詰めてしまいそう。

瞳を閉じ…ふと思い出す。空蝉様と初めて出会ってからの年月を。

四年前、あの頃のワタクシは、誰も信じず、誰も愛さず、誰にも寄り掛かる事無く生きていた。

ワタクシの生きる道は、そんな道しかなかったから。

冷酷な殺人マシーン…それが、ワタクシ。だから、人らしい感情は、寧ろ足手纏いになるだけだった。

男の一言で“女”を捨てて以来、ワタクシは人を好きになる感情を捨ててしまった。心の奥底に封印し、もう二度と持つまい、と心に決めていた。

それでいい、と思っていた。そんなものはいらない、と…。

でも、

彼に、出会った。

最初は、少し父に似ている彼に、親しみを覚え…

それから、その剣の腕に尊敬申し上げ師と仰ぎ…

知らぬ間に、一緒に居たいと思うようになっていた。

彼の前でだけ、笑顔が零れた。

彼の側なら、安心できた。

彼にだけ、心を許せた。

その想い、ずっと、父親に対するような思いだと思っていた。

何となく、愛情かもしれないとは思っていても、それが、“恋”だとは、気付かなかった。

それが、

空蝉様の口付けで、“恋”を自覚し、

自分の中の“女”が又、目覚めた。

そして今、この方に抱かれ、この方の“妻”になって、生まれて、初めて、知った。

人を好きになるのが、こんなにも素晴らしいものだったんだ、と…

空蝉様と出会って、ワタクシの全てが、何もかも変わった。

女としての満足を、生まれて二十六年目の今、やっと知った、そんな気がする。そして…

“その”瞬間、涙が零れた。

本当に好きな男性のものに初めてなった女は皆そうなる、と、

噂では聞いた事があった。

ワタクシが、女の一番大事なものを失くした夜では、込み上げて来なかったもの、溢れなかったもの、が、

今、初めて零れ落ちた…。

 

 

ちちちち、と虫の音が静かに聞こえる。

“その”前とは、殆ど変わらない部屋の風景…。

仄かな行燈、月明かり…

ワタクシは彼の逞しい腕に力強く抱かれ、その胸に手を置き身を完全に預けている。

彼はワタクシを抱き締めながら金色の髪を優しく撫でている。

部屋の片隅の塵箱の中に眠っている、愛の後始末の懐紙の白さが妙に嬉しい。

「空蝉様…。」

「何じゃ?」

「ワタクシ、行って参りましたのよ…。」

「ほう?」

「とても、気持ちよう御座いましたわ…。」

からかってみたくなった。

「お前は、何処に行って来たんだ。」

平静を必死で装うとしているのが分かって、思わず彼を可愛い、と思ってしまった。

「空蝉様がよくご自慢なさってた、あそこ、に…。」

「何じゃ、出雲か…。」

“あそこ”で分かる所が、ヘンに嬉しかった。

「ええ、とても気持ちよう御座いましたわ。」

「そうじゃろう…。」

さもあらん、とばかりに自慢げにそうおっしゃった。お顔を見なくても、どの様な表情をなさっているか、分かる。

「そこで、ワタクシは、一番嬉しい知らせを聞きました…。」

「嬉しい知らせ…?」

空蝉様は、どうやら検討が付かないご様子。

「はい、貴方様の、ご無事を…。」

「蛍火…。」

「又、貴方様に召されて…とても嬉しゅう御座いました…。」

ぎゅう、とワタクシを抱いている腕に、更なる力がこもった。

「まさか、ワシも、この年になってこんな気持ちを持つとは、な…。」

「空蝉様は、きっとお幾つになられても、お若く素敵で御座います、わ。」

「そう言うてくれるのは、お前だけじゃ。」

そのお言葉に、くすくすと笑みが零れる。

「矢張り、な。」

ぽそ…っと呟かれた。

「何が、ですの?」

「お前は、夜の闇では蛍のようじゃが、笑うと、向日葵のようじゃな…。綺麗だ…。」

「では、ワタクシはずっと、貴方様の為だけに、咲き続けますわ。」

「蛍火。」

「はい?」

「今夜は、眠れそうにない…。」

照れた、恥ずかしいそうなお顔が、そこにあった。

ふと見やると、布団の真中に、お気持ちの“しるし”が…。

「嬉しゅう、御座います…。」

そして、又…

空蝉様の男らしい全てが、ワタクシを、包み込む…

 

 

後書き

ナイトストーカー、御免なさい()。手裏剣投げられる前に謝っておきます()。いや、此処まで読んで下さった方感謝します。又未熟な文ですみません。まあ、その、レア小説という事で()

 

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