遅咲きの恋
空蝉編
人間人生五十年と言ったのは昔の話じゃ。
人間の人生など、いつ何時(なんどき)何が起こるか、墓に入るまで分からぬ。
この儂がいい例じゃ。
そもそもの発端は儂と蛍火の同居じゃった。
元々新入りの門下生から蛍火の貞操を守る為じゃったが、結果逆になってしまうとはの。
蛍火と共に暮らすようになって儂は今まで気付かなんだ当たり前の事実を嫌という程思い知らされた。
それは、蛍火はまだ若い普通の娘だという事。
そして、その美しさ、その色香…。
どれを取っても男をそそる魅力に溢れている。
蛍火はいつも好んで着物を着とるのじゃが、そんな、きっちりとした着方ではなく、まあ、普段着じゃから、儂の様に何となく羽織っておる、という感じなんじゃ。
故にいつも着物の打ち合わせ、詰まり襟元付近は見えてはいかんものが見えてしまいそうな位大きく開いているのじゃ。
これには儂も戸惑ってしまった。
いくら年を取って男としての本能を何処かへ置き忘れているような儂にもこれはきつ過ぎる。
じゃがその眺めは、絶景。
美しく整った白い“それ”の姿が儂の視線に入る度目のやり場に困った。
所が当の本人はそんな儂の苦労など何処吹く風でまるで気にしておらん様子。
蛍火の事じゃからまさか態と見せ付けているという訳ではなかろうが、それでも儂はそんな色香に男としての本能を呼び覚まされそうで日に日に苦になっていった。
そんなある日の夜、
連れと会ってきた蛍火が帰ってきた。
その連れとは蛍火の後輩で以前戦いに加わって手助けをしてくれた男じゃった。
儂は二人が何度か会っていたのを知っていたし、男が蛍火に惚れているのも知っていた。
蛍火の父親代わりの様な儂は遠巻きに蛍火が幸せになるのを願っていた。
じゃが…
何度目かの日のその日は蛍火の様子が違っていた。
いつもと違ってぼんやりとしていたし何事か思い詰めた様な表情じゃった。
じゃが儂は声を掛け悩みを聞く、等という気の利いた事など出来ぬ不器用な男。
じゃから一言、
「蛍火、一緒に呑(や)らんか。」
と、それだけ声を掛けたんじゃ。
毎晩の事の様に儂は蛍火に酌をしてもらっていた。
いつも呑むのは儂のみで蛍火は儂について肴を出したり酒を注いでくれたりしていただけじゃった。
じゃが今夜は共に呑もうと声を掛けてみた。
酒で悩みが和らいだり心が解れて話しやすくなれば少しでも蛍火が楽になるかと思ったんじゃ。
「はい…。」
そんな儂の心情を察してか分からんが、相変わらず固い表情のままで蛍火は静かにそう頷きおった…。
「ほれ、今夜は儂が注ごう。」
「有難う、御座います…。」
小さなお猪口を両手で上品に持ち上げ蛍火がしおらしく礼をした。
色香溢れる立ち居振る舞い。
そんな蛍火の杯に儂がゆっくりと酒を注ぐ。
「頂きます…。」
儂の酒は日本酒。割とアルコールの強い奴で、初めてには少しきついかと心配しておったんじゃが、何と蛍火はそれを息もつかずに一気に飲み干した。
そんな蛍火の呑みっぷりに気をよくしてしまった儂は、
「ほれ、ほれ、もっと呑(や)れ。」
と間髪つかずに次を注いだ。
一杯、又一杯…と酒が蛍火の身体に注ぎこまれていく。
その呑みっぷりは儂以上じゃった。
矢張り悩みで半分自棄になっていたのかも知れぬ。
「蛍火、そろそろ八分目にしたらどうじゃ。」
流石の酒豪の儂もついに見兼ねて止めに入ってしまう程の酒量になってしまったのじゃ。
「いいえ、まだ、まだ…。」
そんな儂の制止など一切耳も傾ける様子などない蛍火は、遂に徳利ごと呑(や)ってしまった。
「おい!」
気付いた時は後の祭りじゃった。
パタッ、とその場に精魂尽きた様に倒れてしまったのじゃ。
「蛍火…蛍…しっかりせい!」
赤い顔をして倒れている蛍火が心配になり二、三度揺すってみた。
「ん…。」
幸い、唯アルコールが身体に回り過ぎて逆上せてしまっただけの様で、蛍火は、すーっと気持ち良さそうに寝息を立て始めた。
ほっ…と胸を撫で下ろす。
じゃがその安心も束の間、儂は別の心配をしなければならんようになった。
酔い潰れ、しどけなく、だらしなくなった、蛍火の寝姿…。
肌はいつもの雪の様な白さでなく赤くぼんやりと普段より艶っぽい。
胸は先の、より赤いであろう部分が見えるか見えないかというような辺りまで惜しげもなく露出され、足は着物の合わせからちらちらと誘う様に覗かせている。
少しずつ、長年忘れていたものがむくむくと儂の中で頭を擡げようとしていた。
それは、とても懐かしく、随分年を食ってしまった儂には激しすぎる感覚…。
噎せ返る様な酒の匂いと蛍火の女の匂いがその感覚に拍車をかけていった。
「蛍、火…。」
次に取った行動に儂は心底自分を軽蔑した。
蛍火の着ているものに手を掛け、脱がそうとしていたのじゃ。
「ん…。」
蛍火の寝返りで我に返った儂は、自分のしようとしていた事に驚きと共に滑稽にさえ思え、自嘲した。
結局その夜は朝まで一睡も出来んかった。
儂の寝所で蛍火が寝入ってしまった事も原因じゃが、蛍火への疾しい欲望を結局消す事が出来んかったからじゃ。そんな自分をちびちび飲む酒で誤魔化しながら、そうやって朝まで過ごした。じゃが、
それで儂は知ってしまった。
蛍火の悩みが何であるかを。
これは蛍火の寝言からの飽くまでの推測じゃが、
蛍火は男に求婚されたのじゃ。
それで返事しかねて困っておったんじゃ。
心根の優しい蛍火の事。
きっと一人ぼっちになる儂が不憫に思っておるのじゃ。
蛍火が男をどう思っておるのかは分からんが、
恐らく男の事は嫌ってはいまい。
儂が居る所為で
男に“はい”と返事出来ずにいるのではないのじゃろうか。
蛍火が儂の事を前から慕ってくれておるのは知っておる。
じゃが儂は蛍火より三十も年上の男。
儂に対する気持ちなど父に対する様な思いしか持ち合わせてはいまい。
というよりそうとしか考えられん。
もうすぐ六十になろうという男に
好き好んで女房になろう、等というもの好きなおなごはいまい。
まして蛍火はまだ二十代半ば。
矢張りあの男に嫁ぐ方が幸せになるというものじゃ。
それから幾日か経ったが儂の欲望は一向に衰える気配がなかった。
蛍火は蛍火で日に日に悩みが深くなっていく様で最早焦りも限界に近い様子。
このままでは儂はいつか蛍火に愚行を働いてしまう。
もしそうなっても、優しい蛍火の事じゃ、儂の事を気遣い嫌でも身体を許してしまうに相違ない。
好きでもない男に迫られ、拒む事も叶わないまま操を奪われる…。
そうなって泣き悲しむ蛍火など儂は見たくはない。
じゃが儂の、蛍火への疾しい衝動を押さえ込む我慢も限界に近かった。
早く何とかしなくては
儂は蛍火に取り返しのつかぬ事をしでかし、きっと、深く、傷付けてしまうじゃろ…。
それで儂は決心した。
蛍火に進言しようと。
早く儂などの側から離れ、
幸せになって欲しい。
例えその後、
嫉妬と孤独と哀しみにこの胸焦がれようとも…。
久し振りに見た蛍はそれはそれは美しかった。
流石蛍火の名前の由来となった風景じゃ。
川辺の岩に腰掛け、蛍火が嘆息と共に一言漏らした。
「美しいですわね…。」
“美しいのは、お前じゃ…”
言いたくてもこれは言ってはならん。
心の中で一人言葉を噛み殺した。その代わり、
「あの青年に、何か言われたのではないか?」
勇気を出して切り出した。
男というものは言い難い、やり難い事があっても自分を奮い立たせなければならん時がある。
それから、どれ程経ったか。
儂は蛍火の一言を、待った。
蛍火の優しい心を知っていた儂は、焦る事無くじっくりと、待った。そして、
「甲賀に、来ないか、と。」
やっと、ぽつりと呟いた。
肝心な事は隠す積りらしい。
じゃが白状させねば蛍火を楽にさせる事は出来ぬ。
儂は又付け加えた。
そして自分から核心を突いた。肯定の言葉は蛍火の口からは漏れなかったが図星を突かれ返答に困っているのが手に取る様に分かった。
それから、お前はどうするのか、と
問うてみた。
蛍火は儂の予想通りの返答を返してきおった。
儂の側を離れる積りなどない、と。
正直嬉しかったが、同時に迷惑でもあった。
父親の様な気持ちで蛍火に接する事は最早不可能だったからじゃ。
父親としてなら、蛍火を汚さぬ様、追い出さねばならぬ。
男としての儂など蛍火にとっては不必要。
じゃから…
儂は、蛍火を突き放す一言を、更に付け加えた。
“儂の事など、気にするな”
それは儂の本音じゃったが同時に本心の裏返しでもあった。
儂は心の何処かで蛍火が自分を男として見てくれたら、等という愚かで浅ましく空しい願望を抱いていたのかも知れぬ。
愚かな事よ。六十前の男が二十代半ばのおなごに抱く気持ちとは思えぬ。
じゃから、じゃからこそ、蛍火の気持ちを整理させたい。
このまま共に住んで、婦女子に暴行を働く等という人間にとって最も恥ずべき罪を犯してしまう前に。
“女は捨てた”
そんな言い訳など儂には関係なかった。
早く、はっきりさせたかった。
父としても、男としても、このままでは中途半端。
そう思って儂は、明らかにこの話題から逃れたがっている蛍火に容赦なく悲しい進言を一言又一言と付け加えていった。そして…
“本当の父の様に、慕っている…”
とうとう、その一言を、聞いてしまった。
薄々分かってはいたがはっきり聞くと、矢張り辛かった。
“父の様に”
これではっきりした。儂は蛍火と共に暮らしては行けぬ。
“娘なら、一生父の側にはおらぬ”
事実じゃった。世の中の娘という娘は、いつまでも父の側にはおらず、愛する男の元へ嫁いで行く…当然の事実じゃった。
その一言で儂は蛍火に自分の気持ちを分からせ、儂から離れさせる積りじゃった。じゃが…
“一生、側に居たい”
そんな風に必死に声を絞り出し、驚いた事に啜り泣き出してしまった。
その泣き方は、目にしなくても容易に想像がつく。
一生、側に居る。それが、蛍火の望み。
じゃが側に居れば、今のこの親子の様な関係は崩れてしまう…。
答えは、一つしかなかった。
“儂とつがう、か”
その科白は儂の正直な本音じゃったが、“はい”という答えなどは期待してはおらんかった。
蛍火はすぐに面食らって
儂に対して警戒心を抱くじゃろうが
儂はすぐに笑って誤魔化す積りでいた。
そんな場面を思い浮かべながら
軽い気持ちで呟いた。
蛍火に近付いたのは蛍火をなだめる為じゃった。
そして自分の気持ちに気付いた蛍火に、親離れをするよう言い聞かせる積りじゃった。
所が…
そこで儂の予想だにしなんだ事が起きてしまった。
儂が近付いた事に気付いた蛍火が逃げる所か儂の一言に応えるように、まるで儂を男として受け入れてくれるかの様に、瞳を閉じてしまったのじゃった。
それで儂はつい調子付いてしまい、蛍火に手を出してしまったのじゃ。
儂の中で目覚めた“男”が、親子にも似た儂らの今までの関係に終止符を打ってしまった…。
儂は夢中で蛍火の唇を貪った。
両手で蛍火の肩を抱き、恐がらない様にゆっくりと味わってしまった…。
瞳を閉じた蛍火に、つい反射的にこんな事をしてしまった儂じゃったが、次の瞬間“しまった”と思っていた。
もしかすると蛍火が瞳を閉じたのは別の意味があったのかも、
もしかすると儂はとんでもない勘違いをしてしまったのかも…。
そう思うと情けなくて恥ずかしくて、自分が世界で一番滑稽でみっともない人間に思えた。
はっきり蛍火の心を聞いた訳ではなかった。
はっきり、“男”として慕っている、と言ってくれた訳でもなかった。
それなのに一人勘違いして舞い上がって…六十にもなろうかという中年男が、二十代半ばの若い娘にこの様な恥ずべき振る舞い等…断じて許されるものではない。
故に儂は一呼吸置いた。
そして謝る積りでいた。
この様な愚行に及んでしまった事を。
じゃが…
儂のそんな科白を遮る様に、蛍火がその美しい唇を動かし、
“好きです”
そう言うてくれた。
その瞳。その鳶色の、宝石の様に輝く瞳には、何の嘘偽りも、迷いも邪心もなかった。
そんな純真を絵に描いた様な瞳で真っ直ぐ見詰められたもんじゃから、
この数日の儂の汚れた心中が思い出され、良心がずきずきと疼いた。
“すまん”
儂は有りっ丈の謝罪の気持ちを込めて蛍火を思わず抱き締めた。
何も知らん蛍火が、きょとんとしてその意味を問いかけた。
そんな純真無垢な様子に、儂はつい我慢し切れなくなって懺悔してしまった。
その懺悔は同時に告白でもあった。
これを聞けば蛍火は儂を気味悪く思って離れていくかも知れぬ。
そう思っていても告白せずにはおれん程蛍火の純真さに当てられ、その前に心の全てを曝け出したくなっていた。
その告白は、
“ずっと、邪な思いを抱いていた…”
そんな恐ろしい、とても恐ろしい、ものじゃった…。
蛍火はきっと儂を恐がり離れてしまうじゃろう。
儂は恐かった。
そして後悔などしておった。女々しいものよ。
じゃが、
蛍火はそんな儂の心を受け止めてくれた。
その心が例え気紛れだったとしても
儂には心から嬉しい科白じゃった。
それから儂等は一言も口をきかぬまま戻って来た。
その沈黙の道中、儂の心は不安に襲われていた。
蛍火は、本当にこんな儂でいいのか?
後で後悔しないのか?
よく考えたら、もう十年も経てば儂はいい爺さんじゃ。
それでも蛍火はまだ若い。
その時が来た時、それでも蛍火は儂を愛してくれるじゃろうか?
捨てたりするのではないのじゃろうか?
そんな風に思えて恐ろしくなった。
そうして、
引き返すなら、今の内…。
儂は、もう一度蛍火の心を聞いて、まだ取り返しのつく今に、
過ちを犯してしまう前に、
儂から蛍火を離してしまった方がよいのではないか…
と、考えていた。
そう考えていた儂は、部屋に戻って来ても、蛍火を抱き締める事も手を取り引き寄せる事も出来んかった。
自分から近付く事など出来ん儂は、いつも自分が座って酒を煽っている…そう、最も座りやすい場所に、矢張り蛍火に一瞥もくれる事なく無言で腰掛けた。
なるべく、その距離は遠い方がよかった。
近くに居ると、色々面倒な事が起こる…。
それが、恐かった。
まだ、引き返せる、距離。
手を伸ばしても、届かぬ程の。
それ位でないと、蛍火を突き放す様な事はとても言えそうになかった。
儂は恐かった。
然し言わねばならんかった。
“無かった事にして下さい”
そう言われてもおかしくない。
だから、恐かった。
然し、言わねばならんかった。
蛍火の為に。
蛍火の未来の為に。
これが、愛情というものじゃろ。
自分を犠牲にしてまで相手を守る…。
素晴らしいものじゃ。じゃが同時に愚かなものじゃ。
儂は今、その“愛情”の為に
折角得ようとしている幸せを手放そうとしているのじゃから。
“本当に、儂で、いいのか”
その一言は、
なるべく感情を押し殺した積りじゃった。
“本当は、今すぐにでも妻として娶りたい…”
そんな、不純にて邪な本心をなるべく気取られぬ様、まるで台本でも読む様に口にした積りじゃった。じゃが…
“よろしくお願いします…”
蛍火は、そんな儂の心を察したかの様に迷う事無く挨拶してくれた。
隠した積りじゃったが矢張り悟られていたのか…。
そう思われてならんかったから、儂は、恥ずかしかった。
“大和撫子”
それは照れ隠しじゃった。
蛍火が下手な日本のおなごより上品で慎ましやかなのは事実じゃが…。
そこからは蛍火の独壇場になった。
気弱な儂の最後の言い訳も、単なる独り言に終わった。
不安と恐怖に負け蛍火から逃げようとする儂と、それらをものともせず真摯に想いを伝えようとする蛍火。
何時の間にか立場が入れ替わっていた。
蛍火の為、という名目で
儂は逃げようとしていたのかも知れぬ。
いつしか捨てられるかも…。
その恐怖の所為で、
蛍火の想いを受け入れる事が出来んかったのかも知れぬ。
その気持ちは多分にあった。
儂は何という卑怯で臆病な男なのじゃろう。
じゃがそんな儂に蛍火は近付いて来てくれた。
人に恋を告白する事は並みの勇気では出来ん事じゃ。
或いは刀を取り懐に飛び込み、人を斬るという行為と似通っておるかも知れぬ。
相手に逆にやられ、深手を負っても仕方のない事なのじゃから…。
それならば儂は何と修行の足りん人間なんじゃろう。
鳴鏡館では後輩の蛍火の方が儂より格が上の様じゃ。
その蛍火の果敢な行動に押され、
あろう事かついされるままになっていた。
たまにはこういうのも悪くないもので、
蛍火の熱のこもったその行為に儂はいつの間にか心地良く身体を預けてしまっていた…。
蛍火の身体は、行燈の仄かな灯りにぼんやりと浮かび上がり、
それはそれは白く妖しい美しさを持っておった。
儂はついぞ昔蛍火に作ってもらった
“みぞれ豆腐”なる料理を思い出した。
あの美味なる手料理の様に
今は蛍火の存在が儂の口一杯に広がった。
口付けとは斯様に甘美にて妖しきものじゃったのか…。
それは酒よりも甘く強烈で、容易に人を酔わせ得る。
頭の芯に痺れが走る。
無意識に手が蛍火の肌を滑っていた。
最早逆らう事など叶わなかった。
儂は蜘蛛の巣に掛かった獲物の様に
蛍火の妖艶な魅力に負け、絡め取られたのかも知れぬ…。
蛍火の口付けを受けながら
快楽で思考の働かぬ頭でぼんやりと観念した。
そして、
とうとう、“中心”に蛍火の愛撫が到達した。
その心地良さたるや、媚薬。
おなごの舌は、男を狂わす道具。
ましてやそれが惚れたおなごじゃと、
その快楽たるや、如何ばかりか…。
このまま行為に身を任せ、最後まで愛されるのもよい心地じゃったが、それでは勿体無い気がして、
ついに白状してしまった。
己の正直な“欲望”を…。
そして蛍火をその欲望のまま乱暴に扱った。
“今すぐにでも、蛍火が欲しい…”
最早それだけじゃった。
他に何も考えられんかった。
そうじゃ、元々男には
惚れたおなごが抱きたくて
身体が疼いて眠れん夜がある。
儂は五十六年生きてきたが
そんな夜は数える程じゃった。
そんな無味乾燥な人生も
強ち間違いではなかったかも知れぬ。
この様なおなごとこうして出会えたのじゃから。
そして、
蛍火と“夫婦(めおと)”になった瞬間、
心の中で一つ誓った。
例えこの先捨てられる事があろうとも
決して後悔だけはすまい。
例え泡沫の幸せに終わろうとも
蛍火との思い出は
あの川辺の蛍火の様に
儂の心の只中で
きっと、いつまでも温かく光を放ち続けてくれるじゃろう…。
終
後書き
すまんこってした(何語だ)。やっぱ難しかったッス。空蝉様視点は。言葉遣い無茶苦茶ですみませぬ。全く何なんでしょうね(^_^;)恥さらしもいいとこですよ~。相変わらずベッド(布団?)シーンではあんまり生々しい表現は出来ませんかった。然し高齢でも男性って子供作れますよね~。ギネスでは何歳だったかな~。この二人にも可愛い赤ちゃん出来るといいな♪(でっきるっかな、でっきるっかな♪はてはてふむ~♪)…すいません。ちょっとハイになってます。ウフ。然し、想像すると楽しいです。ホント。次は夫婦喧嘩の話が書きたいな~。蛍火ちゃんの頭に角が生えるやつ~♪どうでしょう。
画像掲示板レンタル |アダルト無料ホームページ |