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囚われの身の跡継ぎ様

 

気が付くと、僕は見知らぬ場所に居た。

「此処は何処だ…?」

何処かの屋敷…だろうか。綺麗だが、嫌に物々しく古めかしい感じだ。

「何で…僕…こんな所に?」

全く訳が分からなかった。そこへ…

「気が付いた?」

いきなり、お河童頭の子供が僕を覗き込んできた。

「お前…誰だ?」

「大丈夫?御免ね。痛い思いさせちゃって…。手加減はしたんだけど…ま、あの時はああするしかなかったし…ね。」

と、僕は思い出した。そうだ!僕は…決戦の場で…年若い、お河童頭に着物を着た剣士と戦って…そして敗れたんだった!

「お前…!」

僕は起き上がろうとしたが、次の瞬間、腹部に激痛が走って、再び横たわるのを余儀なくされた。

「まだ傷が完全に治りかけてないんだから、無理しないの。大丈夫。私が…貴方の手当てをしてあげるから。」

「此処は…一体何処だ?お前は一体誰だ?何故、僕を此処に連れて来た?」

「まだ、何も知らないんだね。教えてあげるよ。此処は捨陰党総帥の屋敷だよ。」

「捨陰党?」

僕は、驚愕した。

敵の本拠地じゃないか!情けない…。もしかしたら僕は人質にされるかもしれない。

「僕を…どうする積りだ。人質なんて僕は嫌だからな!」

「人質だなんて…違うよ。だって貴方は元々捨陰党の人間だからね。」

「…何を訳の分からない事を。いい加減な事を言うな!」

「いい加減な事なんかじゃないよ。可哀想に何も覚えていないんだね。ま、無理もない…か。貴方がまだ三歳の時だったらしいから。私の父…捨陰党総帥は、十四年前に妻と子をなくしてる…。死んだんじゃなくて、行方不明になったらしいんだ。多分…鳴鏡の刺客に斬り殺されたんだろうって思ってた。でも、生きてたんだね。その子の名は…辰美っていうんだ。」

「…嘘だ。」

「嘘じゃないよ。もっと言おうか?そのいなくなった妻の旧姓は、竹科…っていったんだ。」

「!!!」

僕は、言葉をなくした。

そんな…僕が…僕がお世話になった鳴鏡の、その宿敵の血を引いていたなんて…!

僕は、その子の顔をじっと見詰めた。何処となく僕に似ている様な気がする…。

その子は、中性的で男か女か判らなかったけど。

「貴方は…捨陰党総帥の息子…。鳴鏡の人間じゃないんだ。」

「!そうだ!お前…あの辺りまで来てたよな。決戦は?!決戦はどうなったんだ?!」

「ああ…それね…貴方がた…いや、鳴鏡は…負けたよ。」

「!!!」

「私達捨陰党は、長年の恨みを晴らした…。私が、神主と、鏡家の末裔を、斬った。」

僕は驚いた。鳴鏡が…負けた!そればかりか、その役目を果たしたのが、この、目の前にいる、子供…!

僕は、驚愕の余り動けなかった。

「私達の長い長い戦いは終わったんだ。もう、両者は殺し合わなくていいんだ。捨陰党は、運命から解き放たれたんだ。…そして兄さん、貴方は帰って来た。やっと私達の元に。私達は家族なんだ。…ずっと一緒だよ。」

「…一つ、訊いていいか?」

「…何?兄さん。」

「お前は…もしかして…妹…か?」

「どっちだと思う?」

「それが判らないから訊いているんじゃないか。」

「…じゃあ、自分の手で…確かめて…。」

「え…?」

と、僕の右手を取り、自分の足の付け根の所に持っていこうとしたので、僕は顔を赤くして慌てて手を振り解いた。

すると、その子は、けらけらと高笑いをして、

「純情なんだね。兄さん。可愛いよ。僕は男だよ。弟。」

そう言って、又、笑った。

何て子供だ!年上をからかうなんて!

「お前…名前は?」

「ああ、忘れてたね、御免。僕の名前は千尋。よろしくね。兄さん。」

何だか、やりにくい子供だ。

とその時、千尋は、僕の顔をじっと見詰めて、言った。

「兄さんって、本当、格好いいね。何だか、儚げで、陰があって、美しくて…素敵だよ。」

何言ってんだ、コイツ。大人をからかうのも、いい加減にしろ。

…といっても僕もまだ十七歳だが。

「ねえ、お腹空いてるでしょ?一緒に食べよ。僕、持って来る。待ってて。」

そう言って彼は襖の向こうに消えて行った。

どうしよう。大変な事になった。僕は考えた。

が、今は怪我をしていて全く動けない状態だ。

…鳴鏡館の皆、心配してるだろうな。僕が居なくなって、捜し捲ってるかもしれない。何とか僕が無事なだけでも知らせなきゃ…。

でも、待てよ。そんな事してどうする?きっと、僕を助けに誰かが来るに違いない。…そして、又誰かが犠牲になる。まともに来たとしても、きっと彼ら捨陰党側は僕を渡さないだろう…。そうなれば実力行使になって、又戦いが始まる…。

そんな事は嫌だ。僕の為に誰かが傷付くなんて…。

でも、ちょっと帰りたい気がする…。御門さん…。

僕は、僕の最愛の人(といっても恋人じゃなく片思いなのだが)に会いたくなった。

会いたい。もう二度と会えないなんて、嫌だよ。

彼女の、魅力的な笑顔が、僕の頭にチラついた。

でも、思い出したその姿の横に、墨流さんが居た…。そうだ、御門さんの側には彼が居る…。あの、褐色の肌のアメリカ人…。行き倒れになってる所を御門さんに助けて貰ったというあの男…。

思い出したくないのに、何故ヤツなんか思い出したんだろう。

僕は、正直言って二人を見るのが辛かった。逃げ出したい思いで一杯だったんだ…。

御門さんが、彼に笑顔を向けたり話し掛けたりするだけで僕の心は惨めな思いで一杯になった。彼は御門さんを慕っていたから。

でも、僕には何も出来なかった。僕は、彼女から見たら六つも年下のガキだからだ。僕には想いを打ち明けるなんていう勇気は持てなかった。

唯、指を銜えて二人が仲良くしているのを黙って見ているしかないのだ。

…そんな惨めな思いは、もう嫌だ。此処に居て、御門さんの事を忘れられるなら、その方がいいのかもしれない。

僕は、そう思った。

「お待たせー。」

千尋が、二人分の食事を持って戻って来た。

「大丈夫?座れる?僕が起き上がらせてあげる。」

「ありがとう。…あ、美味しそう。」

「結構、いけるよ。いっつもプロの料理人に作らせてるから。…あ、もしかして洋食の方が良かった?だったら、取り換えて来るけど。」

「いいよ。僕、どっちも好き。」

「そう?…良かった。」

千尋の言う通り、本当に美味しかった。

僕は、一人暮らしをする様になってからは、いつも適当に食べてたから、まともに作って貰うのは久し振りだった。

「今夜から、隣りで寝ていい?」

「えっ?…何で?」

「だって、僕、兄さんの事、心配だもん。それに、一人じゃ、まだ起き上がれないでしょ。」

僕の傷は、千尋が手加減してくれたお陰で、実はそんな深くはなかった。だが、今はまだ、一人で起き上がれるが、相当な時間が掛かってしまうのだった。

「ねっ。…駄目?」

ずいっと僕の顔を、甘える様な瞳で覗き込んだ。

「…いいよ。」

「本当?」

無邪気に微笑む。やっぱり子供なんだな。

僕達は、布団を並べて横になった。

「ねえ、兄さん、兄さんの母さん、どうしてる?」

「死んだよ。…もうかなり経つよ。」

「そう…。僕の母さんは、僕がもっと小さい時に亡くなった…。僕の母さんと兄さんの母さんは違う人なんだ。兄さんは、僕が生まれる前にいなくなっちゃったから。」

「…て事は、お前、幾つだ?」

「十三歳だよ。兄さんは、十七歳…でしょ?」

十三歳?若過ぎる。たった十三歳の子供が、この長い抗争にけりを付けたのか?

僕は、気が遠くなりそうだった。たった十三歳なのに、もう人斬りだなんて…。

僕は、何だか千尋が可哀想に思えた。

でも、抗争は、もう終わったんだ。後は、僕が抗争の種にならなければいいのだが…。

気が付くと、千尋は静かな寝息を立てて眠っていた。無邪気な顔をしている。

僕も、目を瞑って眠ろうと思ったその時…

「…さま。」

千尋が呟いた。

「母様…行かないで…。僕を、独りにしないで…。」

千尋の目から頬にすーっと涙が伝った。

可哀想に…。やっぱりまだ子供なんだな。

僕は、自分の着物の裾で彼の涙をそっと拭い去った。

 

何日か経って、僕の身体は順調に回復していった。細々と世話を焼いてくれた千尋がいたからだ。

鳴鏡館の皆も、あれから何の音沙汰もない。このまま、何もなければいいのに。

僕は、捨陰党の人間も、鳴鏡の人間も、もう誰も、人が傷付くのを見たくなかった。

僕の中で、どっちの人間も、大事なものになっていた。

そう、そして…御門さんの事も…忘れられそうな気がした。

此処に居れば、彼女が、他の男と仲良くしたり、他の男のものになるのを見ないで済む。そして…自然と彼女の事を忘れられれば…。

僕は、そう思っていた。所が…。

 

「…クン、辰美クン…。」

夜中に、僕を呼ぶ声がする。…誰だ?これは…夢か?

「…誰?千尋?」

僕は、薄目を開けた。すると、そこに居たのは…何と御門さんだった!

僕は吃驚して、大声を上げそうになったが、すぐに口を塞がれた。

「しーっ!」

「御門さん?どうやって此処に?」

…と、僕は千尋が気になった。最近、身体の調子が良くなってきて別々に寝る事が多くなって、今夜も一緒には寝なかったからだ。

「あの、見張りの中にお河童頭の子供が居ませんでしたか?」

「子供?子供なんて居なかったわよ。」

僕は、ほっと胸を撫で下ろした。良かった。千尋は無事だ。

「それに、私、抜け道から忍び込んで来たもの。」

「…じゃあ、まだ、見付かってないんですね。」

「多分、ね。」

「兎に角、此処じゃまずい。」

ドアは、襖だ。

「こっち、来て。」

実は、この部屋の奥には、もう一つ部屋があって、そこは袋小路の様になっていて、此処からしか入れなくなっていた。

そこは洋室で、ちゃんと鍵が掛けられるようになっていた。まあ、プライベートルームという所か。

聞いた話に依ると、千尋が僕の為に特別に設えさせたらしい。

そこは、結構広くて、端に大きなベッドが一つぽつんと置いてあったのだ。

 

部屋の明りを付けるのはまずいので、僕はベッド脇の小さな明りだけを付けた。

「皆は…どうしてます?無事ですか?」

「ええ…。でも、貴方がいなくなったから、皆、心配してるわ。…でも、良かった。貴方が無事で。」

「ええ…。ちょっとお腹に怪我しましたけど。かなり、良くなりました。」

「え?大丈夫?」

「はい…何とか…。」

「ねえ、辰美クン、帰りましょ!今なら、まだ誰も気付いてないから、抜け出せるわ。」

僕は、答えられずに俯いてしまった。

「どうしたの?助けに来たのよ。御免ね。遅くなって。此処の抜け道とか探るのに手間取ってしまって…。ね、帰ろ!」

「御門さん…僕は…帰れません。」

「どうして?」

「…此処は、僕の本当の家なんです。僕は…僕は、捨陰党の人間なんです。僕は、捨陰党総帥の息子なんです。」

「…嘘…。」

「嘘じゃありません。僕には、弟もいるんです。彼らは、僕の家族なんです。」

御門さんは、ショックで口がきけなくなっていたようだった。

「僕は…帰れません。僕の事は諦めて下さい。皆にも、そう伝えて下さい。…今、僕が帰っても、きっと、又、捨陰党の人達が僕を連れ戻しに来ますよ。…僕は、此処にいるのが一番なんです。…現に、貴女は今、僕を捜して危険を冒した…。死ぬかもしれないのに…。僕は貴女を死なせたくない。だから、僕の事は諦めて、もう…来ないで下さい…。」

僕は、辛かった。

折角、再会できたのに。折角好きな女性が側に居るのに、追い返さなきゃならないなんて。本当は、一緒に居て欲しい…!

でも、それは叶わぬ事だった。

「嫌!絶対諦めない!皆も、きっとそう言うわ!貴方は私達のもの。貴方が誰の子だろうと、貴方は私達が育てた剣士だもの。」

剣士…か。そうだ、御門さんにとって僕は唯それだけの人間なんだ。多分、師範代のいない鳴鏡館の出直しに、僕を利用したいだけなんだ。

そして、僕は又、二人の仲のいい所を見せ付けられる…。

僕は一体御門さんの何なんだ?

僕は又、惨めな気分になった。

此処に居れば、もう二度と御門さんの顔は見れない。でも、もし帰っても、彼女は決して僕のものにはならない…。それどころか、嫉妬で気が変になるだろう…。

消えてくれ。僕の目の前から。僕のものにならないなら。

「御門さん…御門さんは…僕に帰って欲しいですか?」

「勿論よ!だって…。」

「だって…何です?」

「だって…貴方は、鳴鏡館の出直しに必要な人なのよ。貴方が、必要なの。」

「僕が、そこそこ腕が立って役に立ちそうだから、だから必要なんですか?」

実は僕は自分の腕には相当自信があった。だが今は違った。自分より年の若い剣士に負けたからだ。

「御門さん…貴女は鳴鏡館の為に僕を利用したいんですね。」

皮肉っぽくクスッと笑ってやった。

「利用…だなんて…そんな…そんな…“モノ”みたいになんか…考えてないわ。」

御門さんは、困惑の表情をはっきり見せた。

やっぱり、僕の事、利用しようとしていたんだ。ちょっと困った顔の御門さんも可愛い。

よく考えたら、こんな立場じゃなけりゃ、結構美味しいシチュエーションだ。薄暗がりで、ベッドに並んで腰掛けている…。

御門さんは、戦闘用の衣装を着ていた。動き易いようにしているのは分かるが、身体のラインがはっきりしていて、ちょっとエッチな格好だ。

そう考えると、僕はとてもムラムラしてきた。

…彼女が他の男のものかもしれないと分かっていても。

でも、こんな間近にいるのに、存在は果てしなく遠いんだ…。僕は、切なくなった。

「嫌っ!帰って来て!お願い!」

いきなり抱きつかれた。彼女の匂いが仄かに香ってきて、堪らなくなる。…これが最後だ。もう二度と会えなくなる。そう思うと、僕は長年言いたくても言えなかった事を言いたくなった。

「…実は、僕には、もう一つ帰りたくない理由があるんです。」

「何?言って!」

「それは…貴女ですよ。」

「私?私が嫌いなの?」

「ええ、嫌いです。僕を…見てくれないから。」

「え…?」

「僕は、貴女と、墨流さんが仲良くしている所を、もう見たくないんです。」

「どうして?」

「だって彼は貴女を…慕ってます。」

「そ…そんな事ないわよ。彼は、私に恩を感じてるだけよ。」

僕には、御門さんが僕利用したさに僕に帰って来て欲しくて、必死に弁解している様に思えた。

「僕は、貴女達が仲良くしている所を見たくないんです。もう…辛いんです。限界なんです…。だから、帰りたくないんです。」

「どうして辛い…の?」

御門さんが訊いた。核心を突く一言だ。

僕は、僕の心臓の鼓動はドキドキし過ぎて、苦しくなってしまっていた。

これで、終わりだ。

きっと、これで終わりになる。きっと、御門さんは僕の気持ちを聞くと、納得してくれる。

二人にとって、僕が邪魔者だと知れば、僕の事を諦めてくれる。

僕は、どうせ邪魔者なんだ。僕の気持ちを知れば、きっと彼女は恐くなってこの部屋を後にするだろう。

言え!言ってしまえ!そして、きっぱり振られて、いっその事、楽になってしまえ!

…さようなら、御門さん…。僕の、たった一人の愛する女性…。

「僕も…貴女の事が好きだからです。好きなんです。もうずっと前から。貴女を、貴女だけを、ずっと見詰めていました…。」

「辰美クン…私…。」

彼女は、動揺している様だった。

それもそうだ。こんな六つも年下のガキに好きだなんて言われて、困っているに違いない。

「それなのに…貴女は僕を利用しようとしている。鳴鏡館の為に…ね。その上、僕に惨めな思いをさせようとしている。悪いんですけど、僕、そんな事されてまで平気でなんかいられません。だから、すみません。」

「私…別に貴方の事利用する積りで戻って欲しいんじゃないのよ。それに、墨流とだって、別に何もないわ。だから、戻って来て。」

「嘘でしょ?」

「嘘じゃないわ!」

「本当ですか?」

「本当よ!」

僕は、意地悪をして無理難題を吹っ掛けようと思い付いた。彼女が…逃げ易くなる様に。

「じゃあ、その証拠を見せて下さい。」

「証拠って?どうすればいいの?教えて!」

「今…此処で、僕のものになって下さい。」

「…え…?」

御門さんは、戸惑っていた。

ほら、やっぱり嘘だったんだ。そして、彼女は、僕の事を恐くなって今に逃げ出すに決まってる。

さようなら。御門さん。僕の愛するたった一人の女性…。

「…辰美クンのものになるって…どう…すればいいの…?」

「言わなくても、分かってるでしょ。僕と…寝るって事ですよ。」

さあ、嫌ならさっさと行ってくれ。もう、僕は我慢できないんだ。

…でも、御門さんは、

「…分かった。」

と言って服を脱ぎ出した。僕は、驚いた。が、

「鳴鏡の為にここまで出来るなんて、殊勝な心掛けですね。」

と、皮肉った。

「違うわ。私は…私の為に。貴方に…どうしても、戻って来て欲しいの。貴方が、口で言っても信じてくれないなら、私は、身体で証明してみせる。」

と、又服を脱ぎ出し、あっという間に全裸になった。

…綺麗な身体だった。恥ずかしいのか手で胸を隠し、少し恥らう様に可愛らしい仕草で俯いた。

僕は、その眩しい女体に、思わずゴクリ…と喉を鳴らした。

「さあ…好きにしなさい…。」

僕は、僕が長年好きにしたいと思っていた女性の、芸術品の様な美しい肢体を、暫くドキドキしながら眺めた。

「…そんなに見ないで。恥ずかしい。でも、貴方が…信じてくれるまで、私…貴方の言う通りにするから…。だから…。」

「御門さん…その手…退けてくれませんか?貴女の全てが見たい。」

彼女は、恥ずかしそうに俯きながら、ゆっくりと手を退けた。彼女の、張りのある瑞々しい胸が、僕の目の前に露になった。美しい…。

僕は、むしゃぶりつきたい衝動をぐっと抑えて…言った。

「御門さん…貴女の…全てを…見せて下さい。…ココ、も…。見たい…。」

そう言って彼女の太股の付け根辺りに手を翳した。

そうすると御門さんは紅い顔を益々紅くしたが、

「証拠を、見せて下さい。」

と言うと、静かにそのかもしかの様な足を、ゆっくりと開いた…。

彼女の、美しくもエロティックな、その場所を、僕は、じっくりと眺めた。

「綺麗だ…。」

僕は思わず呟いた。

本当に、綺麗…と表現するに相応しかった。花弁も…桜色をしていて、可愛らしく、愛らしく、僕を惑わすかの様に佇んでいて、内部へと続く道は、卑猥な深紅色で、僅かな滴りがきらきら光っていて僕を誘っているかのように、輝いていた。それは、美しく、前人未到の未開の地…の様に見えた。

「まさか…僕が初めて…?」

御門さんは、恥じらいながらコクリと頷いた。

「それも…証明…するわ…。」

ああ…っ!好きだ!抱きたい!抱いて僕のものにして、もう誰にも渡したくない!

僕は、夢中で可愛らしい彼女の唇に、自分の唇を寄せた…。甘い、本当に甘い味と香りがした。僕の…初めての…キス…。

御門さんは、初めてかどうか分からないけど、僕の、初めてのキスは、甘い蜜の味がした。

彼女は、口付けを交わしながら、僕の着物の紐をスルッと解いて、僕の着物を全部脱がしてしまった。

「ずるいわ…。辰美クンも…脱いで…。」

僕の、御門さんを想って大きくなり過ぎてしまったコイツを、まじまじと見られて、僕はちょっと恥ずかしくなった。

それから御門さんは、僕の身体を上から下まで均等に眺めた。…恥ずかしい。

「辰美クンて…逞しい…のね。…素敵よ。」

そう言って、僕に抱き付いてきた。

「ねえ、辰美クン…。」

「はい…。」

「本当に、私のコト、好き?」

「好きです。」

「本当に?」

「本当に、本当です。誰にも渡したくありません。…好きなんです。僕だけのものになって下さい。」

「じゃ、私から離れないで。ずっと一緒に居て。帰らないなんて言わないで。」

「それは…貴女が僕のものになってから…。でも、逃げ出すなら、今の内ですよ。まだ、貴女は僕を受け入れてない。」

「まさか、敵の本拠地でこんな事になるなんて、思わなかった…。」

「御門さん…僕も…敵ですか?」

「ううん。貴方は、私のもの。私も、貴方のものに…なるのね。」

「僕は…僕も初めてなんで…優しくできないかもしれません…。それでも、いいですか?」

僕は、前言い訳をした。

御門さんは、コクリと頷いた。

彼女は、鳴鏡の為に一生懸命になっているだけで、別に僕の事なんか何とも思ってないんだ、そういう空しさはあったものの、僕はもう、好きな女性の無防備な裸体を目の前にして、もう、止まらなくなっていた。

僕はまるで堰を切ったかの様に、彼女の柔らかな胸にむしゃぶりついた。

まるで、何日も何も食べられなかった人が、ご馳走を貪るように、僕は興奮して押えが利かなくなっていた。その勢いで、胸ばかりでなく御門さんの身体中を愛撫し捲った。

彼女の身体は柔らかく、無駄がなく引き締まっていて、すべすべとしていい匂いがして、男を狂わすには十分だった。

と、突然、僕は舌で胸を愛撫された。御門さんは、僕の腕や胸を弄りながら、舌で優しく僕の身体を撫でてくれた…。

信じられない。好きでもない男にこんな事できるなんて。

まさか、御門さんも僕のコト…?

でも、女心は分からないものだ。変に、期待するのはよそう。

「いいですか?御門さん、証明…して貰いますよ…。」

僕は、もう一度念を押した。

御門さんは、コクリと頷いた…。僕は、彼女をふわりと抱き締め、そのままベッドにゆっくりと彼女を押し倒した…それから、そっと彼女の足を開いた…。

胸が、ドキドキする…!心臓が、破裂しそうだ…!彼女を…抱く。

僕達の…証明の儀式…それは正に今、クライマックスを迎えようとしていた。

僕は、彼女の、可愛らしく恥らいながら潤いを含んでいるソコに、僕の欲望の権化を挿れようとした…。と、彼女が、苦痛に顔を歪めたので僕は途中で止めた。

「大丈夫?御門さん。」

「…平気よ。だって痛くて当たり前だもの。それより、優しくして…お願い。」

僕の身体の下で、潤んだ瞳でお願いされてしまった。

最高だ。ああ…!僕はもう死んでもいいっ!

僕は、もう一度腰に力を入れた。

「痛っ…!」

彼女が、大声を出そうとしたので、僕は慌てて彼女の口を塞いだ。

…まるで、レイプしてるみたいだ。

「あんまり大声出すと、まずいよ。」

「御免…でも…痛かった…から。」

僕は、何だか彼女に申し訳ないから、彼女の口を塞いでいた手を退けた。

「…入ったの?」

「…まだ…多分…先だけで…。貴女の内部は、恐ろしく狭くて、僕のコイツにはちょっとキツ過ぎます。」

「…嫌?」

「いいえ、最高です。好きです。御門さん…愛してます。僕の…僕だけのもの…。」

僕は、ググッと半ば無理矢理にヤツを侵入させていった。

御門さんは、声を出さない様に歯を食い縛った。…かなり辛そうだ。

僕は…というと、実はもうこれだけで達ってしまいそうになっていた。

彼女の内部は、柔らかく温かく、そして適度に濡れていて、嫌らしく、僕を悦んで受け入れてくれてるかの様だった。

「…い、痛い…。動かさないで。」

そう言われたが、我慢などできる筈もなく、僕は少しずつ彼女を揺さぶり始めてしまった。

彼女の顔は、苦痛に歪み、瞳から涙が溢れた。でも、そんな彼女の苦痛もそんなに長くは続かなかった。

僕は、僕を包み込んでいる彼女の内部の余りの心地良さに、彼女の最奥に僕の遺伝子、僕の長年の想いを、吐き出してしまったからだ。

達ってしまうと、僕は、彼女の身体だけでなく心も欲しくなってしまった。僕は欲張りだ。

長年想い続けてきた女性の処女を貰えただけでは物足りないのか?

でも、僕は、御門さんの心も欲しい。

本当に好きだから。身体だけ欲しかったんじゃないんだ。全部、欲しいんだ。

「すみません。痛い思いさせてしまって…。」

「ううん。仕方ないわ。…でも、これで、分かってくれた?」

「はい。…でも、本当に大丈夫ですか…。身体…。」

僕がそう訊いたのは、ベッドと僕のコイツに血が一杯付いてたからだ。

僕は人斬りだから、血を見るのは慣れてる筈なのに、好きな人が血を流すと矢張り心配になる。痛かったろうな。

…女性は、可哀想だ。

ふいに、御門さんが又僕に抱き付いてきた。

「辰美クン、もう離れないで。御門の側にずっと居て。」

そんな、可愛い事を曰う。

はあ、でもどうせ、鳴鏡館に戻ったら、きっともうこんな事は言ってくれ倍んだろうな。鳴鏡大切さにやった事なんだ。

 

僕達は、服を着て、こそっと屋敷を抜け出し、森の中をひた走りに走った…。

すると、人の気配がしたので、僕達は慌てて木の陰に隠れた。

すると、明らかにそれは、鳴鏡側の忍者と、捨陰党側の忍者だった。両者は暫く剣を交えて、捨陰側が鳴鏡側を打ち負かし…止めを刺してしまった。 

紅い鮮血が、闇の中に仄かに注がれている月明かりに僅かに照らし出されながら飛び散り、四方の木や草を血染めにした…。

僕の、僕の所為で、僕がいる所為で、罪のない人々が血を流し、死んで行くんだ…。

僕は、ショックを受けていた…。その、止めを刺した方が去って行くのを見計らって僕達は歩き出そうとした。

が、次の瞬間、僕は崖と判らず足を踏み外してしまった。御門さんが僕の手を握ってくれたお陰で何とか転落は免れたが、崖を下に宙吊り状態になってしまった…。

「手を…放して御門さん…。貴女も落ちちゃうよ。」

「何言ってんの!頑張って!」

「僕は…居ない方がいいんだよ…。僕…僕が居る所為で皆いつまでも戦いを続け傷付いたり、死んだりしてしまう…。僕は、そんなのは嫌だよ。貴女だって、唯、鳴鏡大切さに僕に抱かれただけ…。僕を、愛してる訳じゃない。男としての僕は、貴女にとっては不必要なんだ…。鳴鏡館に戻れば、僕はどうせ又、冷たくされるんだ。貴女は唯、剣士として僕が必要なんでしょ…。空しいよ。僕は、貴女が好きだから、本当に好きだから、心が僕のものにならないなら、僕は、此処で死んだ方が幸せだよ。」

「嫌っ!そんなの絶対嫌っ!貴方が死んだら、私も一緒に死んでやる!貴方は…私が惚れたたった一人の男なのよ!だから…貴方が死んだら私も後を追って死ぬわ!それでもいいの?!さあ!頑張って!」

僕は、最後の力を振り絞って、握られてない方の手を近くの木に引っ掛け、何とか一命を取り留めた。

「わああ!バカバカバカ!死ぬのなんて許さないんだから!バカ!」

御門さんは、僕に抱き付いて、わんわんと大声で泣いた。その身体が、酷く震えている。

「恐かった…!死ぬかと思った。貴方が…死ぬかと思った。私…私…貴方が好きだったから、貴方を捜しに、一人で貴方の所に行ったのに…。貴方が生きてるだけで嬉しかったけど、もう、離れたくなくなって…。貴方が好きだから…あんな条件でも飲んだのに…。貴方がいなくなって自分の気持ちに気付いてから、ずっと辛かったのに…。貴方に、ずっと会いたかったから、敵の本拠地まで行ったんじゃないの…。どうして私の気持ち、分かってくれなかったの?それなのに…死ぬなんて、死ぬなんて、許さないんだからっ!私の処女を奪っといて…責任取ってよ!一生…一生…離れたくない…。貴方が好きなの…。」

と言って又、わんわんと泣き出した。

「…分かった。責任取るよ。もう一生放さない。もう、死ぬなんて言わないよ。愛してる。」

「…本当?」

しゃくりながら答える。可愛い。

「本当だよ。」

僕は、誓いを込めてぎゅっと彼女を抱き締めた。

 

それから僕達は、鳴鏡でもない、捨陰党でもない、どっちの手も届かない所に逃げ、そこで一生暮らした。

何故なら、鳴鏡館に戻れば捨陰の者が、捨陰に戻れば鳴鏡館の者が、僕を連れ戻しに来て殺し合いになるからだった。それを止めるには二つの方法があった。僕が死ぬか若しくは蒸発するか…だ。

僕達は、鳴鏡と捨陰の、どちらに居る事も出来なかったから、こうするしかなかった。

僕は、彼女…御門さんの心を知った時、彼女と生きていこうと心に決めた。

僕達は、両者どちらの顔も一生見る事がなかった。

唯、僕の弟…千尋だけは僕を見付け訪ねて来てくれた。だが、事情を話すと千尋は黙っていてくれると約束してくれた。唯僕の顔が見たかっただけで、元気そうで安心したと言って去って行った。

千尋が約束を守ってくれたお陰で、僕達は山の中に小さな道場をひっそりと建てて、そこで次世代の剣士を育てる事に一生を費やす事が出来た。勿論、その中には、僕達の子供も居たが。

例え鳴鏡と捨陰の両派がなくなっても、両派の武士道の精神は、僕達の次の世代が受け継いでくれるだろう、と僕は思う。

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