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第九章、ずっと貴方が好きだった

 

翌朝、僕は彼女のベッドで朝の気だるくも心地良い眠りを満喫していた。そこへ…

「辰美クン、辰美クン、大変よ!」

僕は御門さんのその様子に何事かと眠い目を擦りながら返事をした。

「どうしたの。こんな朝早くから…。もう少し寝ようよ。僕、眠いよ…。ねえ、一緒に寝ようよ。」

そう言って僕は彼女をぐいと引っ張って軽くキスをした。それから彼女の腰に手を回し、ぐっと抱き締めた。

すると彼女も僕の首に手を回したので僕は舌でつんつんと彼女の唇をノックした。

彼女はそのノックに応えて僕を受け入れ、僕は彼女の柔らかく温かい舌の感触を味わった。

(…ああ、又、欲しくなってきちゃった…。)

僕は御門さんをベッドに引きずり込み、

「御門さん…欲しい。」

そう言って彼女にもう一度キスをしようとした。その時、

「ちょっ…ちょっと待って。」

御門さんに止められた。

「どうして?」

「こ、こんな事、してる場合じゃない。」

「どうして?御門さんは、僕が欲しくないの?」

「そ、そんな事ないけど…。」

「じゃ、お願いします…。」

「そ、そういう問題じゃ…。ちょっと聞いて!大変なのよ!」

「一体、どうしたんです?」

「大変なのよ。さっき電話が掛かってきて…色々話してる内に、私達に会いに来る事になったのよ!」

「え?誰が?」

「私の…お母さん。」

「ええっ!!」

「私のお母さん、京都に住んでるんだけど、さっき電話が掛かってきて、それで結婚とか妊娠の事とか話したら、相手の顔が見たいって言ってきてすぐ来る事になっちゃったの…。ごめんなさい。」

そ…そんな…。心の準備が…。僕は、ドキドキしてしまった。

「どうしよう。僕、殺されるかも…。」

そうなっても、僕は抵抗する事もままならず唯ひたすら謝るしかない。…何だか情けない気がする。

それに僕は…僕は…御門さんとずっと一緒に生きていきたいんだっ。

嗚呼…“君が為惜しからざりし命さへ長くもがなと思ひけるかな ”

僕は深い溜息を付いた。そんな僕を見て御門さんは…

「どうしてそう思うの?」

「だって、大事な娘さんを結婚前に身重にしてしまったから…。」

「んん…。ヤバイかもしれないわね。」

僕はギクッとした。

「私のお母さんは、幼い時の私の師匠だから。」

み…御門さんの師匠?この、御門さんの、師匠?僕は気が遠くなりそうだった。

「御門さんのお母さんってもしかしてやっぱり厳しい人?」

「うん。厳しい。まあ、殺しはしないにしろ、二、三発は覚悟しておいた方が…。」

やっぱり…。普通のご婦人なら兎も角、御門さんの師匠だったなんて…恐ろしすぎる。…きっと薙刀持って現れるに違いない。ああ、僕はどうしたら…。

いや、待てよ。辰美、お前は男だろ。それ位何だ。例え殺されても自分のした事だ。仕方ないじゃないか。

殴られるのが恐くて男がやってられるか。

僕は覚悟を決めた。すると御門さんは、そんな僕を見てクスッと笑った。

「冗談よ。冗談。お母さんが私の師匠だったっていうのは本当だけど、そんな、貴方を殴ったりするような人じゃないわ。ちょっと強引だけど、明るくて気さくな人よ。それにお母さんだって女よ。理解くらいあるわ。」

「本当に?」

「多分…ね。」

「又、そんな事を…。」

「もう。すぐ本気にするんだから。可愛い。」

御門さんは、そう言って僕の頬にキスをした。

「お昼に空港まで迎えに行ってそれから何処かでお昼を食べようって言ってるんだけど、それでもいい?」

「はい…。」

やっぱり、そうは言うものの、何だか緊張して喉まで渇いてきてしまった…。すると、御門さんは僕の目をじっと見詰めてこう言った。

「大丈夫よ。本当にとっても優しい人なの。それに、もしお母さんが貴方の事怒ったりしても私がそんな事させないから。…だって貴方は世界で一番大切な人だもの…。ちゃんと私の事愛してくれてるんだって言ってやるわ。私も貴方が居ないと生きていけないってはっきり言ってやるわ。…好きよ。辰美クン…。」

「御門さん…。」

僕達はもう一度軽くキスをした。

 

それから僕達は、朝食を食べて軽くシャワーを浴びてから空港まで向かった。

「あ、お母さーん。こっち、こっち。」

御門さんの視線の先を見ると、髪型から何から純和風の美人がこっちに向かって歩いて来るのが見えた。

「き、綺麗な人だな…。」

思わず目を見張った。流石御門さんのお母さんだ。

「お久し振りやね。さっちゃん、元気してましたか?」

さ…さっちゃん?!

「や、やめてよ!お母さん!そんな、子供の時の呼び方で呼ぶの!恥ずかしいじゃない!もう、本当に金輪際やめてよ!」

御門さんは顔を真っ赤にして慌てた。でも僕は思わず吹き出してしまった。

「ほら!笑われたじゃない!全く、恥ずかしいったら!」

そう言って彼女はぷうっと顔を膨らませた。

「堪忍、堪忍。そない怒らんでもええやん。…所でこちらが例のお婿はん?」

「あ、紹介するわ。この人が、私の婚約者の、竹科辰美クン。」

「ど、どうも、初めまして。」

僕は会釈をした。…何だか、恥ずかしい。

でも間近で見るとその人は本当に綺麗な人だった。はっきりとした目鼻立ちに白く綺麗な肌をしていてとても若く、御門さんと並んでいるとまるで姉妹の様で、若返りの秘薬でも飲んでるんじゃないかって思える程若くて美人だった。

「初めまして。いつも娘がお世話になってます。」

そう言ってお母さんは会釈をした。

「ほな、こんな所で立ち話もなんやから、行きましょうか。」

「荷物貸して。疲れてるでしょ。」

御門さんが荷物に手を伸ばした。するとお母さんは、その手を慌てて退けた。

「何言ってんの。あんたは大事な身体なんやから、あかんで。…うちはええから。大丈夫。」

…やっぱり優しい人だ。それに、物腰がとても優雅なのだ。

 

それから僕達はとある一流レストランで食事をした。

「それにしても、ほんまによかったわ。うち、ひやひやしてましたんどす。」

「え?どうして?」

御門さんが聞くと、お母さんは僕の方を向いてまるで耳打ちでもするかのように、こう言った。

「ほら、うちの娘、色恋沙汰に疎いですやろ?せやからうち、この子が結婚できるかどうか心配してましたんどす。」

「お母さんったら!」

「それが、こんな若くて優しくて器量のええ男はんに見初めて貰えるなんて、うちの娘はほんま、世界一の果報者ですわ。」

「いえ、そんな事ないですよ。御門さんは、僕には勿体無い位とても魅力的な女性です。」

「でも、うちの娘気ぃ強いから、いっつも苦労かけてんと違います?」

「いいえ。そんな事ないです。彼女はとても優しい女性です。」

「そうどすか…。やっぱり女は惚れた男はんの前やと変わるんやねえ。あんたもすっかり一人前の女になったんやねえ…。」

お母さんはそれはそれは感心した様子でしみじみと溜息をついた。

「当たり前でしょ。私もいつまでも子供じゃないのよ。」

「所で、ほんまよかったなあ。長年の想いを遂げる事ができて。」

え?何の事だろう。

「お母さん!その話は辰美クンには言わないでって言ったでしょ!」

「ええやないの。夫婦は隠し事したらあかん。」

「何の話ですか?」

「今から何年前やったかなあ。うちと神社の勤め交代した後やったか、はっきり覚えてへんのですけど、この子うちと電話してる時に、何や、才能溢れる将来有望な子が鳴鏡館に来たゆうてはしゃいでましたんや。で、その子が凄い可愛くて格好いいから、好きになってしもうたかもしれへんゆうてうちに話してくれましたんや。」

御門さんは、顔を真っ赤にして俯いてしまった。

「せやけど、自分は六つも年上の女やから、好きやなんてよう言わん言うて…。どうせ相手になんかしてもらえる訳ないから、見てるだけでいいんやって。その子の顔見るだけで胸がドキドキしてよう近寄る事もできんって、そう話してくれましたんや。それからもその子がどうしたのこうしたのって、まあ、よううちに話してくれましたんどす。」

そうお母さんは嬉しそうに話してくれたがそれとは対照的に御門さんは顔を赤らめながら怒った様子で、

「…もう。言わないでって言ったのに…。お母さんなんか知らない。」

とぷいと顔を背けてしまった。

そ…そうだったのか。僕はそんな事少しも知らなかった。然も御門さんがお母さんにそんな風に話していたなんて…。

僕の方こそ御門さんは手の届かない位の大先輩で、六つも年下で一介の門下生の僕なんかには憧れる事しかできない高嶺の花だった。

…ずっと、僕の事想っていてくれていたんだ。御門さん…。

「…でもよかったやおへんの。おめでとう。ほんま、よかったわ。おまけにもう可愛いややこまで授かるなんて、ほんまおめでた続きやなあ。」

「すみません…。」

僕は覚悟して謝った。

「何で?」

「だって、その…結婚前の大事な娘さんを…その…身重にしてしまったから…。」

そう言うとお母さんははははと笑い声を上げて、

「何言うてますの。惚れ合うた男と女がそないなるのは当たり前ですやん。それでややこができたかてこの子がそれで後悔する訳あらへん。あんたらほんまに好き合うて一緒になったんやろ?せやったら何も悪い事あらへん。」

「僕はてっきり貴女に殴られるものとばかり思ってました。それに、御門さんの師匠と聞いて、どんな剣豪かと…。」

「ああ、確かにうちはこの子の小さい時の師匠でしたわ。昔はようこの子に剣術教えましたわ。せやけど男はんの口説き方は教え忘れてしもうて、そんでこないな色恋沙汰に初い娘に育ってしもうて、うちはずっと心配してましたんどす。」

「お母さん!もうこれ以上変な事言わないで!」

「何が変ですの。ほんまの事やん。」

「もう、お母さんったら…。」

「辰美はん。うちの娘、気ぃ強うて男勝りな所があってえろう苦労掛ける思いますけど、どうか末永う見捨てず可愛がってやって下さい。よろしゅうお願いします。」

お母さんはそう言って深々と頭を下げた。僕は、恐縮しながら、

「彼女は、僕が必ず幸せにします。」

ときっぱりと言い放った。

それから、僕達はお母さんと別れた。どうせなら五年振りの広島見学でも、と引き止めたが、

「何言うてますの。この暑い中うろうろしとったらあんたが倒れてしまいます。うちはええから、家で辰美はんとゆっくりしとき。うちの孫、大事にしてや。」

そう言って帰ってしまった…。

 

そうして僕達はお母さんの忠告通り家に帰った。

「お疲れ様。御免ね。急に会わせてしまって…。」

「いいえ。それより貴女のお母さん、素敵な人ですね。優しくて美人で理解があって、明るくて…やっぱり御門さんのお母さんですね。」

「ありがと。…ちょっと強引だけどね。お喋りだし。…本当、必要以上にお喋りなんだから。話さなくていい事まで話しちゃうなんて。」

御門さんはぶつぶつ言い出した。

「そんな事ないです。僕…凄く嬉しかった。実は僕の方こそ貴女にはとても手が届きそうにないって思ってたんです…。」

「え…?」

「だって僕なんか六つも年下だし、唯の門下生だし、免許皆伝の大先輩にまさか好きだなんて言えませんからね…。とても綺麗で優しくて神秘的で…貴女は僕にとって手の届かない高嶺の花だったんです…。」

「辰美クン…。」

御門さんは美しくも可憐に頬を赤く染めた。

「それがあの夜…初めて貴女に近付く事が出来た…。それは僕にとっては奇跡としか言い様のない事だったんです…。」

「辰美クン…。私…私も…。」

「御門さん…。」

僕はこの幸せな自分の立場に感謝しながら彼女の手の甲に口付けた。

「辰美クン…。私…私、あの夜は、本当に恐かった。恐くて、とても心細かった。…私は巫女だから今迄何度か念を感じたり霊感が働いたりした事はあったけど、あの夜は特別だったの。それまではそこまで霊が恐いなんてあまり感じた事なかったの。それが、多分…決戦を目の前にして騒ぎ出していたのね。貴方が道に迷ったのも、多分彼らの仕業よ。そんな奴らが夢の中で私を苦しめていたの。それが、あの夜は特に酷くなって…本当に殺されるかと思ったの。」

「それじゃ、貴女には悪いけど僕は彼等に感謝しなくちゃ。」

「どうして?」

「だって、そのお陰で貴女に近付く事ができたから…。」

「…そうね。そう言われてみれば、そうかも。私も、そうだもの。」

「今でも…恐い夢を見ますか?」

「ううん。今は…貴方のお陰で大丈夫。…その代わり毎晩貴方が夢に出てくるの。」

御門さんは可愛らしく舌をぺロッと出した。

「じゃあ僕は夢の中でも貴女を抱いてるんですね。」

「どんな夢だと思ってるの?…えっち。」

「え?どんな夢なんですか?」

「…内緒。」

「ずるいんだ。」

僕はちょっと頬をぷうと膨らませた。

「辰美クン…怒った?」

「別に。」

僕は、別に怒った訳ではないが、からかってやろうと思ってぷいと顔を横に向けた。

御門さんはすぐに笑って僕の顔を覗き込むものと僕は思っていた。

所が、

「…ごめん。」

と言って涙をぽろぽろと流し始めた。

僕はぎょっとなって驚いて焦ってしまった。まさか泣き出すなんて思わなかった…。

「み、御門さん、泣かないで。僕が悪かったよ。御免。泣かないで。ね。」

あーあ、僕は、やってしまった。僕が御門さんを泣かせてしまった。

「…だって辰美クンの怒った顔初めて見るから…。嫌われたのかと思った…。」

そうしゃくりながら言葉を搾り出した。

泣いてる御門さんも可愛くて素敵だけれど、でもやっぱり笑顔の方が断然いい。

僕はどうやったら笑顔になるかと思案した。が、この時の僕はかなり焦っていた。

「お、怒ってないよ。冗談だよ。冗談。だから泣かないで。ね?」

「…本当に?私の事怒ってない?」

「本当だって。だから泣かないで。僕、御門さんに泣かれると弱いんだ。」

そう言うが早いか御門さんが僕にガバッと抱き付いてきた。

「御免なさい…。又泣いてしまって…。でも、本当に嫌われたのかと思ってショックだった。…捨てられたくない。離れたくない…。何でも貴方の言う通りにするから、私を捨てないで…。お願い…。」

そう言って力を込めた腕が、身体が、震えていた。

「夢の事も、教えてあげるから。」

「…もういいですよ。」

「ううん。聞いて!あのね…現実で貴方とした事をそのまま夢に見るの…。貴方の言った通り、貴方は夢の中でも私を抱いてるの…。」

「じゃ、今夜見る夢の予行練習でもしませんか。…さっき、何でも僕の言う通りにするって言いましたよね。」

「…ええ…でも何させられるの…?ちょっと恐い…。」

「恐くて当たり前です。僕は貴女の前では狼になるから。…僕は、僕は目を瞑らなくてもずっと貴女の夢ばかり見てきました。夢というより、妄想です。僕は貴女とこうなるずっと前から…ずっと貴女の事視姦していたんです…。貴女の裸…豊かな胸…括れた腰…長い足…皇かな腕…そして…貴女の…女性自身を…服の上から想像していたんです…。…好きです…。御門さん…。僕は…とんでもない助兵衛なんです。」

そう言って僕はジーンズのファスナーを下げ、彼女を恋い慕っている僕の分身を解き放った。

「…見て下さい。僕は…貴女を想う度に…疼いて溜まらなかった。…僕は、病気なんです…。…痛くて溜まらない。…治して下さい。貴女でなければ治らない。」

「な…治すって。…どうやって。」

彼女は顔を赤くして目を逸らす様に顔を背けた。

何度も関係を持っているのにも関わらずに。

彼女のこの純情さがかえって僕の助兵衛心を刺激するんだ…。

僕はそんな彼女の顔をぐいとこちらに向けさせた。が、彼女は目をぎゅっと瞑ってしまった。

「…治して下さい。貴女のその優しい手と舌と口で。…さっき何でも僕の言う通りにすると言ったのは嘘だったんですか?」

「…嘘じゃない。でも…。」

「でも?」

「でも…恥ずかしい。私…そんなの、出来ない…。」

まだ固く目を瞑ったままで恥らった。

「何を言ってるんですか。前は、貴女から僕のコイツにキスしてくれた癖に。」

「あ、あの時は…勢いで…。あれが精一杯よ。」

「じゃ、その目を開けて。…それだけでいいですから。…見て下さい。貴女の事を…僕は…こんなにも欲しがってるって事を…。」

そう言って僕は彼女の顔をぐいと引っ張って僕の分身の真ん前に持ってきた。

すると彼女は恐る恐るその美しい瞳を開いた。

僕の顔も彼女の顔も紅潮して、二人とも何度も身体を重ねあったとは思えない程の初々しさだ。

「コイツはいつでも貴女の内部に潜り込むチャンスを狙っているんです。貴女の…上の口とそして下の口に、ね。…ああもう…駄目です。とても…辛い…。」

「辛い…の?」

「はい…。とても…。」

そう言うと彼女は、

「…じゃ、治してあげる…。」

と言って目を瞑って、恥じらいながらも僕のコイツの根元をちょろちょろと舐め始めた。

僕はそんな彼女の髪に触れながら彼女が僕の病を治してくれている様を見物した。

「お願いです…。もっと…先まで…僕の…コイツを…手当てして下さい…。」

すると、僕だけの優しい看護婦さん、ナイチンゲールは、舌を先端まで移動させ、軽く口に含んで舌を回すように舐めまわしてくれた。

腰に痺れが走る。僕の身体の全神経はソコに集中してしまい身体の力が抜け、座っているのもやっとな程だ。

そんなこそばがゆい快感を、彼女の髪をぎゅっと握り締め表現した。

「もっと…お願いします…まだまだ…足りません…。」

欲張りな僕は更なる治療を要求した。まだまだ、僕には治療が必要だ…。

最後の膿を出すまで、僕の発作は治まらないのだから。

くちゅ…。

彼女は更に深く僕のコイツを口に銜え、舌のざらざらした面で僕の鉄の様に固くなってる男根の根元から先端まで一気に舐め上げた。

「…!」

舌の先だけでなく舌全体を使って愛撫され、焦点の合わぬ目で彼女の髪をぼんやりと見やりながら僕は思わず声が漏れそうになった。

僕のアソコ以外の神経は今、まるで役に立たない。

ドクドクと血液の流れまで聞こえてきそうな程、僕自身は今血を滾らせて彼女の口での脈測りに喜び狂っていた。

世界で一番大好きな女性にコイツを口に銜えられ愛撫されるのがこんなに気色いいものだったなんて、僕は知らなかった。

僕がずっと憧れてた女性にここまでしてもらえるなんて僕はなんて幸せ者なんだろう。

くちゅ…くちゅ…。

彼女の喉元まで銜え込まれては僕のモノの先の柔らかい傘のところまで離され…そのリズムが刻まれる。

奥の方まで頬張る時は彼女は喉の戻してしまうポイントを付いてしまうのではないかと思える程限界ぎりぎりまで、先の方まで舐めあげてくれる時は絶妙な力の入れ具合で口に力を込め吸い上げてくれて、もう治療が僕の意志とはうらはらに一気に終わりそうになった。

「あ…駄目です…。もう…あ…。あ…。」

思わず惜しくなって喘ぎ声を絞り上げた。

彼女の治療に一段落を。

「最後の…仕上げ…。これで…治してあげる…。」

そういうと彼女はスカートの下から彼女の眩しい純白…ナース色のパンティーを引き出した。

「辰美クン…知らなかった?私も…病気だってこと…。貴方を想うだけでこんなに…濡れて…困ってるの…助けて…。」

そう言って彼女は彼女の秘密の部位の、秘密の液体を中指に取り、僕に見せてくれた。

彼女の蜜…病の証拠は、彼女の指の間まで滴り落ちる程の量で、きらきらと美しく光り宝石の様に高価且つ清楚な輝きを放っていた。

その芳香は、御門さんという楽園に生息する見目麗しき愛らしい二枚の花びらの慕わしさを十二分に思い出させてくれる程えもいわれぬ神々しい香りがした。

僕は、その指を口に銜え、馨しき芳香を放つ液体を舌を回すようにねぶりその味をたっぷり堪能した。

その味は、どんな飲み物より味わい深く、僕らの治療に最も適した薬らしく適度な苦味があって…僕はいつまでも口に残しておきたくなった。

「…重症だ。」

「…貴方の所為よ。」

「…でも、知ってました?男も…濡れるって事…。」

「うん。さっき味わったから…。私達、重病人ね。」

そうして僕達は座ったままで抱き合う様にして…治療に移った。

彼女の内部は本当に重症だった。涌いても涌いても決して涸れない魔法の泉だ。

そして、その泉は彼女が上下に揺れる度に官能的な音楽を奏でた。

…ああ、この時が永遠に続けばいいのに。僕は未来永劫まで彼女とこうしていたいという夢を抱いた。

そして僕は彼女が上に纏っているものを全部脱がし、可愛らしく、僕を誘う様に揺れている魅惑の乳房に吸い寄せられる様に顔を埋めた。

…全く女性の乳房というものは、男が吸い寄せられる様なデザインで困る。

僕の様な御門さんマニアの助兵衛男は、御門さんの美しいこれを見ると顔が引き付けられて何も見えなくなるじゃないか。

そして手は…ああ駄目だ。迷ってしまうじゃないか。足りない。

御門さんの引き締まった形のよいしかも柔らかく弾力のあるもち肌のヒップが二つ、そして桃色の僕専用の胸のさくらんぼも二つ。口を入れても全てを塞ぐには一つ余ってしまう。

この問題を打開するには…

「ねえ、御門さん…。」

「…え…?」

「こっちのおっぱい、自分で弄れない?」

「…え!?」

赤くて可愛らしい頬が更に赤みを増した。

「…で、出来ないわ…恥ずかしい…。」

「ねえ、お願い…。御門さんのそういうとこ…見たいな…。綺麗だもん…。きっと…。」

そう言いもって片方のさくらんぼをちゅちゅっと吸い上げた。

「…ああっ…!ああン…あ…!」

僕の髪を摑み仰け反る。

ちゅ…ちゅ…。

唾液で摩擦がなくなったさくらんぼを、舌を回したりはたまた吸いながら離したり…。そう繰り返す内に御門さんの右手が空いているもう片方のさくらんぼに伸びてきた。

くりくりと刺激しだす…。

いい眺め…。

そうして僕は彼女の治療ポイントという治療ポイントを塞ぐ事に成功した。

ああ…。動かなくても終わっちゃいそう…。

御門さんの双丘に手を伸ばし掌一杯にそのすべすべした感触を味わいながら少しずつ指を下の方に伸ばした。

彼女の後ろの穴のちょっと奥に、そのいい匂いのする蜜でベッドのシーツまで濡れているのではと思わせる程ねとねとになった僕の男根の根元がある。そしてそれは、柔らかなひだひだで包まれ夢心地に浸っていた。

…コイツは、幸せ者だな…。

「…御門さん…。もう我慢できません…。いいですか…。突いて…。」

そう言って僕は、少し腰を後ろにやり、ベッドの端に両足を置き、僕に跨る様に抱き付いている御門さんを治療のフィニッシュまで導き始めた。

ギシ…ギシ…。ギシ…ギシ…。

こうしてベッドと僕と御門さんが揺れ合っていると、まるでベッドと二人で御門さんを犯しているかのような錯覚が涌いてくる。

僕が腰を上に突き上げる度、肉のぶつかり合う音とあの美味しい蜜の液体独特の音が部屋中に響き渡った。

…最も僕の耳には御門さんの喘ぎ声が最も麗しく最も大きく聞こえてくるのだが。

「ああ…もう駄目です…。もう…。御門さん…。ああ…!」

「辰美クン…!」

ぞくぞくと、僕の腰の辺りをあの射精前の感覚が駆け抜けていった。

…ああ、もうすぐ、治療は終わる…。

「愛してます…!御門さん…!」

「私もよ…!辰美クン…!」

いつの間にかベッドに両手を付いて僕の腰が動き易い様腰を浮かしてくれていた御門さんは、僕の丁度顔の辺りに柔らかな感覚を残しながら、

そして腰を痛めるかもしれない心配事など忘れて怒涛の様な力で彼女を突き上げる事に夢中になってしまっていた僕は、僕のナニのように硬くなってしまっている彼女の桃色のさくらんぼの辺りに唾液という潤いを残し、

…一つになって、連動しつつ…二人同時に治療を終えてしまった…。

 

「御免ね…。」

「何がです?」

「さっきの…夢の話。」

「僕の方こそ、脅かしたりしてすみません。…まさか、泣くとは…。」

「御免…。」

「御門さん、謝ってばっかり。」

「…本当。だって、嫌われたくない。」

「好きですよ。」

「本当?」

「本当です。…夢の事も、僕はとても嬉しいんです。…男冥利に尽きますよね、本当…。でも、僕にとってはこの現実の方が夢みたいだ…。」

僕はそう言ってまだ裸の彼女を抱き寄せ優しく抱き締めた。

だが僕は嫌な現実を思い出した。明日から新学期だ。明日は学校に行かなくてはならない。

…なんてつまらないんだろう。いっその事、爆弾テロかなんか起きて学校がなくなってしまえばいいのに。

「…僕は、今日の夜は、帰らなくちゃ…。」

「どうして?」

「だって、制服、向こうにあるし…。」

「じゃ、制服こっちに持ってくる?」

「え?此処から行くの?」

「…ダメ?」

物憂い女の顔…男心を惑わす切ない表情で俯いた。彼女はまるで女優だ。

「よし。じゃあ、そうしよう。ついでに着替えも持ってこよう。」

「あ…。御免なさい…。私…無理…言ったかしら。」

申し訳なさそうな顔。

どんな表情をしても御門さんは美しい。

「そんな…僕だってもう一秒も離れたくない。…好きなんです。僕は、どうしても貴女の事、好きなんです。」

そう言うと御門さんは僕の瞳を見詰めて、

「うん。」

と明るく微笑んだ。やっぱり、笑顔の方が可愛い。

 

それから僕達は僕の家まで服やら何やら取りに行き、そしてもう一度彼女の家に戻って晩御飯とお風呂を済ませベッドに潜った。

「ねえ、辰美クン…。」

「何?」

「このベッド、狭くない?」

「そうかな。」

「だって、シングルだもん。狭いわ。」

「でも僕は、貴女とこうして重なり合えるから丁度いいです。」

僕は彼女に身体を摺り寄せた。

「でも、お腹大きくなるし、やっぱ狭い。…あの夜みたいに、別々で寝るの、嫌でしょ?」

「…嫌ですね。」

「やっぱ、買おうかなあ、ダブルベッド。」

ダ…ダブルベッド…。何だか、凄くえっちな響きだ。ダブルベッド、ダブルベッド…。ああ、嬉し恥ずかし。

と、少々興奮してきた。

然しふと御門さんを見ると柔らかな寝息を立て甘い寝息で眠っていた。

…疲れていたんだな。かく言う僕もちょっと腰が痛いのだ。

僕は剣術が好きでずっと身体を鍛え続けているがSEXの時使う筋肉は別物なんだという事を初めて知った。

僕は、彼女の綺麗な寝顔に改めて見惚れてしまった。

透き通る様な白い肌にすっとした形のよい鼻…。可愛らしく艶っぽい、男の唇を挽き付ける桜色の唇…。

どれを取っても美しかった。

目は、ちょっときつい感じだが、長い睫が豊かにその影を落としていてきりっとした眉ととてもよく似合って究極の美を奏でていた。

そうして僕は彼女の美しい寝顔に視線の自由を奪われたままで、いつの間にか深い眠りについた…。

 

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