全裸で立ち尽くす鈴貴に、義嗣は、やがてゆっくり歩み寄る。 そして、手のひらを鈴貴の下腹に、押し当てた。 「…ここに」 「…」 「たっぷりと、昨夜の、儂の子種が、入っておるか。ふふ」 かあっ、と鈴貴の顔が朱に染まった。 息子の前で、こうもあからさまに、精を射込まれた自分を曝されるとは。 「…早よう、孕め」 「…」 「儂が天下を取るのは、じきぞ。早ようせねば、間に合わぬわ」 鈴貴は、少し唇を噛む。そして、義嗣を上目遣いで見上げた。 (…馬士太郎の居る前で…) その表情は、義嗣を責めながら、しかしどこか拗ねているようでもあった。 義嗣は、楽しんでいる。相変わらず、自信に溢れた目で、鈴貴を見下ろしてくる。 その大きな手のひらで下腹部をゆっくりと撫ぜられ、鈴貴の息が、わずかに弾む。 「…湯殿に」 身をよじり、かろうじて、鈴貴はそう言う。 「…健康な、男児じゃ」 なおも鈴貴の下腹部を、執拗に、妖しく撫で回しながら、義嗣は言った。 「よいな。鈴貴」 鈴貴の頭がわずかに、頷いた。 それから、背後の愛する我が子を、振り返りたそうな仕草を見せた。 許しを求めたのか。それとも息子に見られることを、恥じたのか。 馬士太郎は、反射的に下を向いた。母の目をまっすぐに見る勇気は、なかった。 やがて目を上げた時、母はもう、こちらを見てはいなかった。 義嗣と母が、全裸で、並び立っている。 義嗣はこちらを向き、母を狂わせた股間に生える男根を隠そうともせずに。 母は、豊かな白い尻を、無防備に馬士太郎に向けて剥き出しにして。 浅黒く引き締まった、筋骨逞しい義嗣の肉体。 そこに肉づき柔らかく、透き通るように白い母の裸身が、寄り添っている。 愛する母は、完膚なきまでに、奪われていた。 義嗣と鈴貴が、脱衣所の扉を開け、並んで湯殿に消えていった後も。 しばらく馬士太郎は黙したまま、その場に座っている。 たった今しがたの母と義嗣の会話。 身も心も奪われたような母の媚態。 どうしようもなく漂っていた「牡」と「牝」の馴れ合った空気。 それらが、どうしようもなく馬士太郎の心を苛んでいた。 確かに、今朝の寝所で、母は自分を守ろうとした。 だが、それとて、義嗣にすべてを懸けて立ち向かったのではない。 母は、自分が義嗣の女であることを認めるところから、物事を始めるようになっている。 (…おかしいではないか) 例え斬り捨てられようとも、義嗣の不義や傲慢に対し、正義を貫き続ける。 それが母と子の、誓いではなかったか。 鈴貴にとっては夫への、馬士太郎にとっては父への、約束ではなかったのか。 -義嗣さまのお手つきになるのは女の名誉じゃ。 -案ずるな。そちの母は、確かに気丈だが、床の中ではすっかり義嗣さまに蕩かされておるゆえ… 不意に、芳丸に放たれた言葉が、脳裏に甦ってきた。 やがて、ゆらり、と馬士太郎は立ち上がった。 そしてのろのろと脱衣所の中へ歩を進める。 命じられた作業を、無意識に馬士太郎は進めようとしていた。 脱衣所の床に、母の白い襦袢が脱ぎ捨てられている。それを、拾い上げた。 途端、母の肌の匂いが、馬士太郎の鼻腔を満たした。 (…母上) 思わず、白い襦袢を見つめる。両手で、すくいあげるように持つ。 この襦袢の裡に、母の真っ白な裸身が、今しがたまで包み込まれていた。 馬士太郎は、不意に強い激情に駆られ、その襦袢を胸のうちに抱きしめていた。 その時。 「…んふ…っ…」 閉じられた湯殿の、扉の向こう。 格子窓の部分から、声を洩れ聞いたように、馬士太郎は思った。 ぎょっとした馬士太郎は湯殿の扉の方を振り仰ぐ。 母か義嗣に、今の姿を見られたのかと思ったが、そうではなかったようだ。 安堵すると同時に、暗い疑問が胸にきざしてきた。今の声。義嗣のものではない。そう、吐息のような。 (…母上) ふらり、と馬士太郎は立ち上がった。 扉の上部にある小さな格子窓。 そこから内の様子を覗き見ることは、たやすいことである。だが、もし、その姿を義嗣に見られたら。 主が側室を伴っている湯殿の光景を覗き見るなど、許されることではない。 今度こそは、母がとりなしてくれたところで通用するまい。 (…なら、それでも良い) 馬士太郎は、やや自暴自棄になっている。 自分が斬り捨てられたところで、誰が悲しむというのか。 母は「義嗣の女になる」とあれほど明確に馬士太郎に告げたではないか。 (なら、私は、父上のところへ行けば良いのだ) 馬士太郎は、ゆっくりと湯殿の扉に近づく。 扉に身を隠すように立つと、顔を寄せ、格子窓の端から、ついに内の様子を窺った。 朝の眩しい光と、湧き上がっている湯煙で、中は見えにくい。馬士太郎は目を細め、凝らす。 湯に濡れる檜床の匂いが立ち昇っている。清潔さを保った広い湯殿である。 (…いた) 湯煙の中に、義嗣の姿が見えた。 湯舟は、床と同じ高さから、床下へくり抜かれる形になっている。 床と同じ高さの湯舟の縁に、義嗣は腰掛けていた。だが母の姿が、どこにも見えない。 「…ん、ふ」 そう思った途端、母のものらしい、くぐもった声が、した。 ちゃぷり…と湯の揺れる音。檜の床に湯が溢れて、さあっと流れた。 (…どこに) 馬士太郎は、視線をやや下へ向け…そして、息を呑んだ。 母は、いた。湯舟の中に。溢れる湯の中に、その身を沈ませて。 義嗣が大きく開いた両足の間へ、白い裸身をもぐりこませて。 そして。 義嗣の股間に、母は深く顔を埋めていた。 (…っ?) 馬士太郎には、まだすべてが理解できていない。母が義嗣の股間に顔を埋めているのは分かる。 だが、湯煙が邪魔をして、母の行為のすべてを確かめることが出来ずにいる。 (…母上…なにを…) また、ちゃぷ、ちゃぷっ…と湯が揺れた。 「…ふ…っ…ん…」 母の声。その時、湯殿のどこかに、窓があったのだろう。すうっと風が湯煙を掃っていく。 そして、馬士太郎は、見た。 そういう行為が男と女の間で為されることを、これまで知らなかった。 母の唇が、義嗣の浅黒く屹立した男根を、深々と呑み込んでいた。 「…んふっ…ふっ…」 母は目を閉じ、ゆるゆると、顔を上下させている。母の艶やかな唇を割って、義嗣の男根が、何度も何度も出入りする。 (…男根を、口で…) 馬士太郎は、ただ呆然とする。これも、男と女の、性の営みのひとつなのか。 義嗣の手が、母の頭を撫でた。犬を撫でるように。 母は、うっすらと目を開け、義嗣の男根を咥えたまま、義嗣を見上げた。その目は、熱にうかされたように潤んでいる。 「…続けい」 義嗣がそう言った。母はそれを聞くと、安心したようにまた目を閉じ、顔を動かし始めた。 「…ん…ふぅん…んふっ…」 母の鼻から洩れる吐息。顔の動きはじょじょに、激しさを増していく。 (…いつも、母は義嗣に、このような…) 母は妖しかった。馬士太郎の見知らぬ母だった。やがて、その口を、一旦離し、義嗣を見上げる。媚びるような目。 義嗣の無言に許しを得たと判断したのか、母の手が義嗣の男根に伸びていった。 馬士太郎が愛した白く細い指。何度も、馬士太郎を優しく撫でてくれた指。 その指で、母は、義嗣の男根の根元を、握った。あやすように、指を上下させ始める。 母の口からは、赤い舌が伸びた。義嗣の男根の先端を躊躇うことなく舐めた。 そして、ちろちろと、蛇の舌のように、何度も這わせる。ねっとりと舌の表裏を使って、先端全体を舐めあげ、唾液にまみれさせる。 指の動きは速さを増し、義嗣の男根の根元をきゅ、きゅ、と扱き立てる。 義嗣がふふ、と笑った。 「…あ、あぁ、ん…」 母はたまらず、恨めしげに、知性のかけらも感じられぬ嬌声をあげてみせる。 義嗣に植え付けられた被虐。 そのどす黒い悦びの炎の渦に、鈴貴は全身を焼かれて、法悦の極みにいる。 扉の向こうには、馬士太郎がいる。 だが、その事実すら、いまや、鈴貴の官能を刺激する材料でしかなかった。 女が男に狂う。そこまで深い性の悦楽など、ありえないと思っていた。 生まれてから、30年の間だ。そう思っていた。 処女は、亡夫・泰邦に捧げた。 それから、女の歓びは、それなりに夫に教わり知ったつもりだ。 だが、性の営みがなくては生きていけないと思ったことはなかった。 性の悦びは、人生の裏側にそっと存在するものだと思っていた。 理性や、教養や、女としての誇り。そして、例えば、息子への深い慈愛。 人の心の表側で強く輝き、力を保ち続けるのはそういうものだと思っていた。 その人生観は、すべて義嗣に、破壊された。 義嗣の前で自ら股を限界まで大きく開き、性器を剥き出しにして誘ってみせる。 義嗣の逞しい男根に膣を割り裂かれ、子宮まで、激しく何度も何度も穿たれる。 その時間こそが、今の鈴貴の至福だった。 (…教えて。鈴貴にもっと、もっと。教えてくださいませ) 義嗣の性器を、口いっぱいに頬張り、鈴貴は主を見上げ、柳眉を寄せて訴える。 (…私が、鈴貴が間違っていたと、教えて) 男根から指を離し、喉の奥まで再び呑み込む。吐き出す。それを繰り返す。 (正しいのは、義嗣様。あなただけと…愚かな鈴貴を詰ってくださいませ…) 頬をすぼめて男根を圧迫する。 舌を走らせては刺激を与え、真っ赤な顔を懸命に上下に振りたくる。 馬士太郎が見ているとも知らず。 義嗣に喜んで欲しい。鈴貴は口の周りを唾液でべとべとにしながら必死に奉仕する。 (義嗣様…義嗣様…) 息子の面前で。 母は一匹の浅ましい性奴となり果てる。 馬士太郎は母の屈服を見つめている。 義嗣の股間で、激しく母の頭が上下に動く。 口いっぱいに義嗣の男根を頬張って、うっとりと目を閉じる母。 時折媚びるような薄目で義嗣を見上げる。 義嗣が何も言わず見下ろすと、嬉しくてたまらないように、また顔を埋めていく。 (これが…本当に、母上か…) 馬士太郎は、血の色の心を抱えたまま、しかし、その光景から目が離せない。 義嗣が、母に何かを言ったようだった。 母が、義嗣の男根から口を離し、そして、ざぁっ…と湯から立ち上がった。 母の一糸まとわぬ裸身。今は、前から見る。 母は、若々しかった。ぴん、と湯を弾くような肌が、朝の光と湯気の中で、輝いて美しかった。 型崩れの全くない双つの乳房が、張りのある隆起を見せている。 そして、その先端に、薄茶色の乳首がふたつ、ぴん、と尖っているのが見えた。 馬士太郎に何度も乳を含ませた乳首は、いま、義嗣のために硬く尖っている。 男なら誰もが見とれてしまうであろう、腰の見事なくびれ。 その下腹を、慎ましやかにうっすらと覆う陰毛。 そのすべてを、母は、義嗣の為にだけ、晒していた。 やがて、後ろを向いた。命じられていたのだろう、そのまま義嗣に、豊かな形の良い尻を突き出していく。 母の、真っ白な尻。そして、その割れ目がはっきりと見えた。 義嗣がゆっくり足を開いて、再び、何かを言った。 それに従い、母が、おずおずと、突き出した尻を、義嗣の股間に落とし始める。 すぐに、剛直が尻のあわいに触れたのだろう。びくん、と母の腰が跳ねた。 もう、馬士太郎にも、母が何をしようとしているかは分かる。 母は、義嗣を受け入れようとしているのだ。それも、自ら、腰を落として。 恥じらうように母は義嗣を振り返った。かすかに、いやいや、と頭を振った。 その腰に、義嗣がそっと手を添える。添えただけだ。動くのは、母だ。 なじるような視線を送った母が、諦めたように、また前を向く。 義嗣の両膝に、母の手が置かれた。腰が沈む。ゆっくりと。義嗣の股間に母は背中から、尻を落としていく。 ぐちゅぅ…という浅ましい音を聞いたように馬士太郎は思った。 「…! あぁ…っ、あーー…っ…」 母は、朝の光の中で背を美しく反らし、喜悦の牝声を迸らせた。 母が剛直を呑みこんだのを見計らい、義嗣が母の両手をぐい、と後ろから掴んで牽いた。 「あっ…! あ、ひぃ…っ…義嗣さま…っ…いやっ…」 母が、哀れな悲鳴を迸らせる。 まるで、馬の手綱のように両手を義嗣に牽かれ、母はなおも、背を反り返らせる。 美しい裸身が、ぴん、と彫像のように突っ張った。 「や…っ、いやぁ…、…おゆるし、くださいまし…」 自由を奪われ、哀願すれば、義嗣がまた、ぐい、と腕を強く牽く。 「ふふっ…ほうれっ…!」 牽くと同時に腰をぐん、と下から強く突き上げる。 女の芯を、捉えられている。 身動きできぬ母は、ただ浅ましいよがり泣きを噴きこぼすばかりだ。 「い…っ、ひいっ…ひーーーっ…」 「はははっ…はしたないぞ、鈴貴…馬士太郎に聞かれておるのだぞ」 「やっ…いやぁーーーっ!…」 母が悲痛な叫びをあげると同時に、義嗣が腰の動きを激しくした。 最愛の母を、下からずんずんと容赦なく犯し抜く。 「…っ、ひいっ!…ひいっ!…ひいいっ!…ひいっ!…ひいいっ!」 一定の間隔で突き上げられ、母ははしたない叫びを上げ続ける。 息子が、すぐそばにいる。 自分を一途に愛している血を分けた息子に…性の悦びに狂わされる声を聞かれている。 だが、もはやその事実すら、鈴貴の矜持を保たせることは出来なくなっていた。 「ふふっ…どうじゃ?たまらぬであろうが?…鈴貴っ」 母は隷従した。叫んだ。 「ああっ…た、たまらないっ…義嗣さまっ…鈴貴は、気持ちようございますうっ…」 髪を振り乱した。狂ったように顔を左右に打ち振った。 自らの豊かな尻を、義嗣の腰にぶつけはじめる。 母の腰がうねる。獣のように。 「あああっ…ああーーーっ…義嗣さまっ…もっと、もっと…!…」 義嗣の強靭な肉体は、母のそんな激しさを、いともたやすく飲み込んだ。 「ふふ…そらっ!…らっ!…そらぁっ!」 母の激情を呑みこむ逞しさ、さらに母を突き上げ、身体の奥深く貫く。 母が、泣いた。涙をぼろぼろとこぼしながら、真っ白な尻を必死で振った。 「ひ…っ、ひっ…ひい…ひいいっ…ひいっ…くうっ…ひいーーっ」 気高かった母。 優しかった母。 厳しかった母。 その母は、いま、義嗣に犯され、腰を振って泣いていた。 まるで赤子のように。 馬士太郎は、ふらり…と浴場の扉の前を離れた。 これ以上、母の狂態を見続けても、どうなるものでもない。 もう、母が自分の元へ戻ってくることはない。 すべてを終わらせたかった。そうでなくば、あの日に戻りたかった。 父を殺され、母とふたりで、義嗣と対峙したあの日。 あの時、母と二人で、最後まで義嗣に立ち向かい、斬られていれば良かった。 母の、悲壮な決意が滲んだ眦を、馬士太郎は思い出した。 だが、あの時、母を、綺麗だと思った。 息子の命と、夫の誇りを掛けて、母は凛として立っていた。 居並ぶ敵将たちの前で、魔王のごとき義嗣にも、怯むことなく。 その気迫が、まだ幼い馬士太郎をして、母を、美しい、と思わしめた。 斬られることなど、怖くはなかった。 母とふたりで敵と戦っている。それが、馬士太郎の喜びですらあったのだ。 「いひぃっ…いぃーっ…いいーーーーっ…」 いま、その母のよがり声が、馬士太郎を幸福な回想から引きずり戻す。 あれほど強かった母の、恥知らずな盛り声が、否応なしに耳に届いている。 無言のまま、夢遊病者のごとく、馬士太郎は小姓が座すべき位置に戻りはじめた。 最愛の母を奪われたその目は焦点を失い、何も映してはいない。 (…強うなれ。馬士太郎。まっすぐに力強く正しい道を駆ける馬のように) 亡き父に掛けられた言葉が、不意に脳裏に甦ってきた。 立派な父だった。強い父であった。尊敬すべき父だった。 なのに、なぜ、母は。 その時、 「あ…あーーーーーーーーーっ!!」 明らかにひときわ高い叫び声が、扉の向こうから響き、そして、ぱたりと止んだ。 義嗣の性技に敗れ、絶頂に追いやられた母の、いまわの叫びであった。 続く |
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